GHS分類結果

名称:O-エチル-S-フェニル=エチルホスホノチオロチオナート【ホノホス】
CAS番号:944-22-9

結果:
物質ID: 668
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点90℃から、区分4(GHSの定義:引火点60℃超、93℃以下)とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 分子内に、自己反応性に関連する原子団としてP-O結合を含むが、データがないために分類できない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温以上の温度下(94℃)において引火点測定がなされていること(ICSC(1997))から、常温で自然発火することはないと判定されるので区分外とした。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類できない - - - - データなし。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 鋼材への腐食は記載されている(HSDB(2005))が、その他のデータがないために分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの9データ(ACGIH(2001), PATTY(5th, 2001), PIMs(1998))から計算によって得られたLD50=5.74 mg/kgに基づき区分2とした。なお、PATTY(5th, 2001)の1データのみラセミ体、S体、R体に分けてLD50を記載しているが、他のデータはいずれも用いたアイソマーについて特に言及していないので全てラセミ体と見なし、PATTY(5th, 2001)の1データからもラセミ体の値のみを計算に用いた。
1 急性毒性(経皮) 区分2 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット経皮投与におけるLD50=147 mg/kg(ACGIH(2001))に基づき区分2とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の飽和蒸気圧濃度は0.49 ppmであるから吸入試験はミストで行われたと考えられる。ラット吸入試験2データ(ACGIH(2001))の内低い方のLC50=0.225 mg/L(4時間換算値)に基づき区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギにおいて皮膚刺激性を示さなかったとの記載(ACGIH(2001), PATTY(5th, 2001))に基づき区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギにおいて眼に対する刺激は無視できるものであったとの記載(ACGIH(2001), PATTY(5th, 2001))があるが、ヒトでは眼を刺激することがあるとの記載(ACGIH(2001))、眼に接触すると発赤、痛み、かすみ目を生じるとの記載(ICSC(1997))がある。ヒトでの情報に基づき区分2A-2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ヒト経世代疫学、経世代変異原性試験、生殖細胞in vivo変異原性試験が無く、体細胞In vivo変異原性試験(マウス骨髄細胞を用いる小核試験)で陰性の結果が得られていること(HSDB(2005))に基づき区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIHでA4に分類されている(ACGIH-TLV(2005)cited in HSDB(2005))ことから区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット3世代試験で親の生殖能力、児の発育発生に異常はなかったとの記載(ACGIH(2001), PATTY(5th, 2001))もあるが、ウサギ器官形成期投与試験では母獣に軽度の毒性が見られる用量で、着床後死亡が増加したとの記載(HSDB(2005))があることから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系) 危険 H370: 臓器の障害(神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットにおいて区分1のガイダンス値範囲内の用量で筋線維れん縮、振せん、流ぜん、あえぎ呼吸など神経系への影響を示唆する所見が得られた(ACGIH(2001))。ヒトでも本物質の摂取により悪心・嘔吐、流ぜん、発汗、筋線維れん縮、縮瞳、めまい、眼のかすみなど神経系の障害が見られた事例(PATTY(5th, 2001), HSDB(2005))があり、コリンエステラーゼ阻害による神経症状としてこれらの症状が現れるとの記載(HSDB(2005), HSFS(1999))がある。以上のことから区分1(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系、肝臓、小腸) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系、肝臓、小腸) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット及びイヌにおいて、区分1のガイダンス値範囲内の用量で赤血球や血漿あるいは血清中のコリンエステラーゼを阻害し、小腸と肝臓に組織学的変化が見られるとの記載(PATTY(5th, 2001), HSDB(2005))がある。ヒトにおいてもコリンエステラーゼを阻害し、神経を障害して抑鬱状態や不安感、痙攣、呼吸不全などを来たし、肝臓に障害を与えることがあるとの記載(ICSC(J)(1997), HSFS(1999), SITTIG(2002))がある。以上の情報に基づき区分1(神経系、肝臓、小腸)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=1.09mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=3.94(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)ことから、区分2とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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