GHS分類結果

名称:エタンチオール
CAS番号:75-08-1

結果:
物質ID: 663
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
6 引火性液体 区分1 危険 H224: 極めて引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
国連危険物輸送分類: UN No. 2363, Class 3, Packing group に分類されていることに基づき、区分1とした。[引火点:-48.3℃、沸点:35℃(ICSC(2004))]
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が299℃(ICSC(2004))と70℃を超えている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素、フッ素または塩素を含まない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有しない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 沸点が35℃(ICSC(2004))(55℃以下)であり、気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット LD50 = 682 mg/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データはラット LD50 > 2000 mg/kg(PATTY(5th, 2001))のみ。データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラット LC50(4h)= 4420 ppm(PATTY(5th, 2001))に基づき区分4とした。LC50値が飽和蒸気圧濃度の90%より低いので、分類には気体の分類区分を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 動物試験の結果、ウサギで"Moderate erythema(redness/inflammation)"、ラットで"pain and skin discoloration"と記述されている(PATTY(5th, 2001))が、刺激性はそれぞれ24時間以内に消失、あるいは持続的ではないとの記述もある。したがって、軽度と判断されるので区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギの眼刺激性試験の結果、"slight irritant"(PATTY(5th, 2001))、および"moderate"(RTECS(2004))の評価に基づき区分2A-2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経)、区分3(気道刺激性) 警告
危険
H370: 臓器の障害(中枢神経)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物試験で中枢神経系への影響(正向反射の消失、協調運動障害、歩行異常、脱力、頭痛、嘔吐など)が認められ(PATTY(5th, 2001)、IUCLID(2000))、ヒトでも頭痛、嘔気、協調運動障害、脱力などの症状が報告されている(IUCLID(2000)、HSDB(2002))ので、区分1(中枢神経)とした。また、ヒトおよび動物とも軽度の呼吸器粘膜の刺激性も認められている(IUCLID(2000))ので、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ヒトおよび動物とも吸入暴露による試験が実施されているが、いずれも低濃度のため毒性症状は軽微である。したがって、データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 動粘性率14 mm2/s以下であるが、化学性肺炎等を示す動物データがなく分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.077mg/L(環境省生態影響試験、1998)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(分解生成物であるジエチルジスルフィドのBCF=70(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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