GHS分類結果

名称:アセトン
CAS番号:67-64-1

結果:
物質ID: 635
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点:-20℃(<23℃)、沸点56.5℃(>35℃)に基づき分類した。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が465℃の液体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素、塩素を含まない、酸素を含んでいる有機化合物であるが、この酸素は炭素以外の元素と結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 鋼、およびアルミニウムが容器として使用できる(ホンメル、(1991))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50>5000mg/kg(SIDS(1999));(ACGIH(2001))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50>5000mg/kg(ACGIH(2001)),(SIDS(1999))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外 - - - - ラットLC50: 32000ppm(75.8mg/L)(SIDS(1999)) この値は区分4の判定基準の2.5倍(50r/L)の範囲外であるため区分外とした。(20℃、アセトンの飽和空気は230000ppmであり、吸入毒性試験は全て蒸気状態で行なわれたとみなす。)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギ皮膚に対して刺激性なし(EHC 207(1998)),(SIDS(1999))の記載より区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
蒸気は人の眼を刺激する。しかし暴露が止まると刺激性は続かない(ATSDR(1994))。ウサギではsevereという結果が報告されている(ACGIH(2001))。角膜上皮は破壊されるが、基質までは至らず、角膜上皮の破壊は4-6日で回復する。アセトンは腐食性の眼刺激性ではない(SIDS(1999))。以上の記述より区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 呼吸器感作性はデータがないため分類できない。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - Mouse ear swelling test 及びGuinea pig maximization test でnegative(SIDS(1999))と記載されているので、皮膚感作性は区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - in vivo 小核試験で陰性(SIDS(1999))、(EHC 207(1998))により、技術上の指針に従って区分外と分類した。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIH A4(ACGIH(2001))であり、技術上の指針より区分外と分類した。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
疫学調査で流産への影響なし(ATSDR、1994)という報告がある。ラットの高濃度暴露(11000ppm(20mg/L))でわずかな発生毒性(胎児体重減)(EHC、207(1998))が、マウスの高濃度暴露(6600ppm(15.6mg/L))で胎児体重減、後期胚吸収率増(EHC、207(1998))が報告されている。EHCでは、ヒトと動物で更に検討が必要であるとの記載がある。以上のことより区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトへの12000ppmの暴露で喉の刺激(ACGIH(2001))、1190、2400r/m3/6hの暴露で鼻、喉、気管の刺激(EHC 207(1998))、1000ppm/4hの暴露で喉の刺激(EHC 207(1998))の記載より区分3(気道刺激性)、200mlを飲み込んだ男性に昏睡(12時間後意識回復)、12000ppm暴露した労働者に頭痛、めまい、足の脱力、失神(ACGIH(2001))の記載より区分3(麻酔作用)に分類した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ボランティアによる試験で500ppm、6時間/日、6日の暴露群に白血球、好酸球の有意な増加及び好中球の貪食作用の有意な減少が観察されている(ACGIH(2001))ので区分2に分類した。ラット、マウスの試験でもガイダンス上限値を大きく超えた投与量ではあるが、ヒトに見られたと同様な血液学的変化が認められた(SIDS(1999))。その他のラット、マウスの試験(ACGIH(2001))、(SIDS(1999))ではいずれもガイダンス上限値を超えており、ヒトでの報告例も無いので分類根拠として採用しない。
10 吸引性呼吸器有害性 区分2 警告 H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動粘性率は計算値で0.426mm2/secであり、化学性肺炎の動物データが無いが、C13以下のケトンであることより区分2とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50>100mg/L(EHC207、1998)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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