GHS分類結果

名称:1,2,4,5,6,7,8,8-オクタクロロ-2,3,3a,4,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン【クロルデン】
CAS番号:57-74-9

結果:
物質ID: 572
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - データなし。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - データなし。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 「不燃性でそれ自身は燃えない」(NAERG(J)(2001))との記載により、常温で空気と接触しても自然発火しない。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 「不燃性でそれ自身は燃えない」(NAERG(J)(2001))との記載に基づく。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素およびフッ素を含まず、分子内の塩素はすべて炭素と結合している。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内-O-O-構造を有しない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点55℃以上であり、固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
11個のラットLD50値が該当し(EHC 34(1984)、IARC vol.79(2001)、ACGIH(2001)、JMPR 180(1970))、統計計算により得られた314 mg/kgに基づき区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットとウサギのデータにおいて値の低いラットのLD50を採用した(EHC 34(1984))。LD50 = 205 mg/kg(2個のLD50の低い方)に基づき区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - ネコのデータ(RTECS(2005))のみで、げっ歯類のLC50値は不明のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ヒトで暴露により皮膚を刺激し(HSDB(2005)、HSFS(2005))、しばしば熱感、掻痒、皮疹が現れる(ATSDR(1994)、HSFS(2005))と報告されている。動物で標準の皮膚刺激性試験に則ったデータは見当たらないが、単回または反復暴露の試験では皮膚症状について「重度の刺激を起こす」(EHC 34(1984))との記述が見られる。以上のことから本物質は刺激性を有すると考えられるので区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ヒトで事故により、眼あるいは粘膜を刺激し(HSDB(2005)、HSFS(2005))、本物質を含む混合物の噴霧が常に結膜炎を起こすとの記述(ATSDR(1994))により区分2A-2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスを用いた複数の優性致死試験(in vivo経世代変異原性試験)で陰性(EHC 34(1984)、IARC 79(2001))であったが、in vivo小核試験および染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陽性結果(ATSDR(1994)、IARC 79(2001))が得られているので区分2とした。なお、一部のin vivo遺伝毒性試験(DNA損傷試験、姉妹染色分体交換試験)も陽性である(IARC 79(2001))。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC(2001)により2B、日本産業衛生学会(2002)により2B、ACGIH(1996)によりA3にそれぞれ分類されていることに基づき区分2とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
周産期あるいは授乳期の暴露により授乳期間中の児の死亡率の増加(ATSDR(1994)、EHC 34(1984)、IRIS(1997))、および一部では神経行動学的影響が認められている(IARC 79(2001)、ATSDR(1994))。これらの用量では試験物質の一般毒性の発現も記述されている(EHC 34(1984)、IRIS(1997))ので区分2とした。なお、授乳期間中に児の死亡率増加が観察されているが、授乳を介した影響の可能性を示唆している報告もある(ATSDR(1994)、IRIS(1997))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、肝) 危険 H370: 臓器の障害(神経系、肝) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトに暴露後、痙攣、嘔吐、運動失調、錯乱など神経症状の報告が数多くあり(IARC 79(2001)、EHC 34(1984)、PIMs(2000))。また、肝酵素上昇が報告されている(IARC 79(2001))。一方、ラットで肝の脂質過酸化の有意な増加が認められたと記述されている(IARC 79(2001))。以上のヒトおよび動物での知見に基づき区分1(神経系、肝)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝、神経系、脳血管、血液) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝、神経系、脳血管、血液) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット、マウス、イヌを用いた複数の試験において、肝酵素の上昇、肝重量増加、および細胞質の均質化・辺縁趨向、壊死など組織学的変化を伴う肝細胞腫大が低用量で認められ(IARC 79(2001)、EHC 34(1984)、JMPR 080(1967)、IRIS((1997))、さらに痙攣、振戦、自律神経や感覚器への影響などが認められている(IARC 79(2001)、EHC 34(1984))。また、噴霧による長期暴露を受けたヒトの調査でも神経生理学な影響が確認されて(IRIS(1997)、JMPR 080(1967))、職業暴露または疫学調査から脳血管疾患および貧血・血小板減少の報告(IRIS(1997))もある。以上の結果に基づき、区分1(肝、神経系、脳血管、血液)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ピンクシュリンプ)の96時間LC50=0.4μg/L(EHC34、1984)他から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))、生物蓄積性がある(BCF=27900(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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