GHS分類結果

名称:塩化亜鉛
CAS番号:7646-85-7

結果:
物質ID: 566
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義により固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義により固体。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性固体(ホンメル(1991))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義により固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性固体(ホンメル(1991))。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性固体(ホンメル(1991))。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定。(Weiss(2nd, 1985))
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義により固体。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告: UN No. 2331, Class 8、Packing group IIIに分類されている。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有しない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点が732℃(ICSC(2002))(55℃以上)であり、固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット LD50 = 1100 mg/kg(EU-RAR(2004))に基き区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分2 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモット LD50 = 173 mg/kg(IUCLID(2000))に基き区分2とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義により固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分1-5 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物で確定されたLC50値が得られていないが、ヒトで暴露レベル不明ながら暴露後の死亡が複数報告されている(ACGIH(2001)、PATTY(5th, 2001))ので、区分1-5とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギの皮膚刺激性試験で真皮表層の炎症性変化や潰瘍が認められ(EU-RAR(2004))、また、ヒトのパッチテストでは皮膚に膿疱や小水疱の形成が報告されている(DFGOTvol.19(2002))ので区分1A-1Cとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
事故で眼に濃縮塩化亜鉛の暴露を受けたヒトの報告が2例ある(EU-RAR(2004))。浮腫に次いで永続的な角膜瘢痕化に至り、回復に6〜28週を要したとの記述(EU-RAR(2004))に基づき、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - ヒトで接着溶剤による職業性喘息が報告されている(DFGOTvol.19(2002))が、塩化アンモニウムにも暴露されているので原因不明。したがって分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスを用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)における陽性結果(EU-RAR(2004、EHC 221(2001))に基づき区分2とした。
6 発がん性 分類できない - - - - 現在塩化亜鉛の発がん性について分類区分を定めている機関はない。既存の長期動物試験(DFGOT vol.19(2002))はいずれも発がん性試験としてはプロトコール上不備があり、亜鉛自体の発がん性についても利用し得るデータは限られている。EUおよびU.S.も発がん性評価には情報不足としている(IRIS(2006)、EU-RAR(2004))。以上のことからデータ不足のため「分類できない」とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
母動物の一般毒性発現用量で同腹仔数の減少が見られている(DFGOTvol.19(2002))ことに基づき、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器系、肝、膵) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器系、肝、膵) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで吸入暴露後に肺の動脈閉塞と線維化、チアノーゼ、ARDS症候群などが報告され(ACGIH(7th, 2001)、PATTY(5th, 2001))、症状として嘔気、咳などに加え、鼻、喉、気道に刺激性も見られている(EU-RAR(2004)、ACGIH(7th, 2001))。さらに、経口摂取による肝障害、膵外分泌機能不全の報告がある(EHC 221(2001))。これらの情報に基づき区分1(呼吸器系、肝、膵)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肺、肝) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肺、肝) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
吸入暴露により、マウスで肺のリンパ球浸潤、肝の脂肪変性に加え高濃度では死亡率の増加が認められる(DFGOT vol.19(2002))。マウスの肺と肝に認められた毒性影響濃度をガイダンス値と比較して区分1(肺、肝)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.1mg/L(CERIハザードデータ集、2002)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=178(既存化学物質安全性点検データ))、金属化合物であり水中での挙動が不明であるため、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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