GHS分類結果

名称:(S)-α-シアノ-3-フェノキシベンジル=3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチル-cis-シクロプロパンカルボキシラート
CAS番号:67375-30-8

結果:
物質ID: 525
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 化学構造に不飽和結合(オレフィン)を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点78〜81℃(HSDB,2006)、試験温度140℃)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素を含まず、酸素および塩素を含む有機化合物であるが、これら酸素および塩素がそれぞれ炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 79 mg/kg(環境省リスク評価第4巻(2005))、40 mg/kg、80 mg/kg、368 mg/kg(EHC 142(1992))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 40 mg/kgから区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
EHC 142(1992)のウサギを用いた眼刺激性試験において「mildly irritating.」との報告が得られていることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
EHC 142(1992)のウサギを用いた眼刺激性試験において「severe eye irritant」「The vascularization of the cornea and iritis were considered to be irreversible.」との報告が得られていることから、非可逆的と考えられ、区分1とした。 なお、「EC formulation」と「SC formulation」で反応が違うなど剤形で反応が違う可能性もある。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - EHC 142(1992)のモルモットを用いたmaximization test、Buehler testにおいて、皮膚感作性はみられなかったとの報告が得られているが、EUリスク警句は感作性ありとしていることから、判断がつかず、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - EHC 142(1992)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陰性、であることから「区分外」とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 環境省リスク評価第4巻(2005)の記述から、ラット及びウサギの催奇形性試験において、仔に明確な生殖毒性はみられていないが、成体の生殖能に関する記載がないため、「分類できない」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系) 危険 H370: 臓器の障害(神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「間代性痙攣、立毛、流涎、後肢伸展歩行が観察された」(EHC 142(1992))、「運動失調、呼吸困難、唾液腺機能障害」(RTECS(2006))の記述があることから、神経系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系)、区分2(血液系、肝臓) 警告
危険
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系、肝臓)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「ナトリウムチャネルを介して末梢及び中枢神経系の軸索に作用する神経毒性を持つ」(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述がある。実験動物については、「運動失調や歩行異常、活動過多、円背姿勢、ALAT 及びASAT 濃度の上昇」、「ヘモグロビン濃度の低下及び血小板数の増加、雄でリンパ球数の増加及び好酸球数の減少、雌で平均赤血球容積及び平均赤血球ヘモグロビン濃度の低下及び血中尿素濃度の上昇」(環境省リスク評価第4巻(2005))、「歩行異常及び過敏状態が見られた。雌雄ともに血清中蛋白の減少と血清中尿素の増加が観察された」(EHC 142(1992))等の記述があることから、神経系、肝臓、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲で神経系に、区分2に相当するガイダンス値で肝臓、血液系にみられた。 以上より、分類は区分1(神経系)、区分2(血液系、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.0003mg/L(EHC142、1992)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され(BIOWIN)、生物蓄積性があると推定される(log Kow=6.94(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る