GHS分類結果

名称:フタル酸ジ-n-オクチル
CAS番号:117-84-0

結果:
物質ID: 472
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - NFPA(13th,2002)による引火点は215℃(開放式)であり、「区分外」に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点390℃(NFPA,13th,2002))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50 30,000 mg/kg、53,700 mg/kg(CERIハザードデータ集2001-63(2002))、47,000 mg/kg(環境省リスク評価第4巻(2005))、34,000 mg/kg(PATTY(4th, 1999))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 32,100 mg/kgから、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 モルモットを用いた経皮投与試験のLD50 4,890 mg/kg(CERIハザードデータ集2001-63(2002))から、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - CERIハザードデータ集2001-63(2002)のヒトへのパッチテストで、「刺激性はみられていない。」との報告が得られ、環境省リスク評価第4巻(2005)では、「フタル酸ジオクチル(異性体の詳細不明)を皮膚塗布したボランティアで、皮膚の刺激及び感作を生じた」との報告があり、皮膚刺激性の有無については、分類できないとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。 なお、CERIハザードデータ集2001-63(2002)の疫学事例において、気化した本物質を含むフタル酸類の暴露を受けた労働者に、眼及び上部気道への刺激性が報告されている。
4 呼吸器感作性 区分1 危険 H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
データなし。なお、CERIハザードデータ集2001-63(2002)のヒト疫学事例において「職場でフタル酸ジオクチル(詳細な構造不明)に連続的に暴露された労働者に、喘息様反応が認められている。」との報告がある。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価第4巻(2005)のヒト疫学事例において「フタル酸ジオクチル(異性体の詳細不明)を皮膚塗布したボランティアで、皮膚の刺激及び感作を生じた」との報告が得られたことから、皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - CERIハザードデータ集2001-63(2002)、ATSDR(1997)、NTP DB(Access on April 2006)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo遺伝毒性試験なし、in vitro変異原性試験で複数指標の(強)陽性結果なし、であることから「分類できない」とした。
6 発がん性 分類できない - - - - CERIハザードデータ集2001-63(2002)に毒性試験データの記載はあるが、既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価書第4巻(2005)、ATSDR(1997)の記述から、マウスの催奇形性試験において、親動物の一般毒性に関する詳細が不明な用量で、出生仔数の減少がみられていることから「区分2」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない なお、フタル酸ジオクチル(詳細な構造不明)のヒトへの急性影響として、「職場でフタル酸ジオクチル(詳細な構造不明)に連続的に暴露された労働者に、喘息様反応が認められている。」(CERIハザードデータ集 2001-63(2002))との記載がある。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ヒメダカ)の96時間LC50>20mg/L(環境省生態影響試験、1997)他から、本物質の水溶解度(0.022mg/L(PHYSPROP Database、2005))において当該毒性を示さないさことが示唆されるため、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性で水溶解度までの濃度で急性毒性が報告されておらず、生物蓄積性があると推定されるものの(log Kow=8.1(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がある(BODによる分解度:67%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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