GHS分類結果

名称:ピペラジン
CAS番号:110-85-0

結果:
物質ID: 469
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - ICSC(2003)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス8(国連番号2579)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点320℃(ICSC,2003))。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点106℃(ICSC,2003)、試験温度140℃)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 600 mg/kg、11,200 mg/kg(CERIハザードデータ集 2001-13(2002))、2,830 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.19(2005))、2,600 mg/kg(EU-RAR No.56(2005))、2,050 mg/kg、3,000 mg/kg(PATTY(4th, 2000))、1,900 mg/kg(DFGOT vol.9(1998))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 1280 mg/kgから、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4 警告 H312: 皮膚に接触すると有害 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 4,000 mg/kg(CERIハザードデータ集 2001-13(2002))、1,590 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.19(2005))のうち低い方のLD50 1,590 mg/kgから、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書 No.19(2005)、EU-RAR No.56(2005)、DFGOT vol.9(1998)のウサギを用いた皮膚4時間適用試験結果の記述から、重度の刺激さらには、非可逆的影響報告が得られていることから、腐食性を有すると考えられるため、区分1A-1Cとした。細区分の必要がある場合は、安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
CERIハザードデータ集 2001-13(2002)、CERI・NITE有害性評価書 No.19(2005)、PATTY(4th, 2000)、DFGOT vol.9(1998)のウサギを用いた眼刺激性試験結果の記述において、「強度の刺激性」「重度の角膜混濁」「治癒の見込みの無い重い眼傷害」等が見られたことから、腐食性を有すると考えられ、区分1とした。
4 呼吸器感作性 区分1 危険 H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集 2001-13(2002)、EU-RAR No.56(2005)、PATTY(4th, 2000)のヒトへの健康影響の記述にて、喘息などの呼吸器感作性による症状がピペラジンによって引き起こされたとの報告がある。また、既存分類としては、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会が、気道感作性物質にリストアップしていることから、区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集 2001-13(2002)、EU-RAR No.56(2005)、CERI・NITE有害性評価書 No.19(2005)、PATTY(4th, 2000)のヒトへの健康影響の記述において、パッチテストの結果「陽性」との報告が得られたこと。また、既存分類としては、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会が、皮膚感作性物質にリストアップしていることなどから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - CERI・NITE有害性評価書 No.19(2005)、NITE初期リスク評価書 No.19(2005)、NTP DB(Access on March 2006)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo遺伝毒性試験なし、in vitro変異原性試験で複数指標の(強)陽性結果なし、であることから「分類できない」とした。
6 発がん性 分類できない - - - - 毒性情報はあるが 既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できないとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足により分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系、呼吸器) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(神経系、呼吸器) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「睡眠、吐き気または嘔吐」(RTECS(2004))、「眼、皮膚、気道に対して腐食性を示す。神経系に影響を与え、多量を経口摂取すると機能障害を生じることがあり、意識を喪失することがある」(ICSC(J)(2003))等の記述から、標的臓器は神経系、呼吸器と考えられた。 以上より、分類は区分2(神経系、呼吸器)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系、呼吸器) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系、呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「頭痛、嘔気、嘔吐、下痢、嗜眠、振戦、協調不能、筋衰弱」(CERIハザードデータ集 2001-13(2002))、「慢性気管支炎」(CERI・NITE有害性評価書 No.19(2005))等の記述から、標的臓器は、神経系、呼吸器と考えられた。 以上より、分類は区分1(神経系、呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=21mg/L(EU-RAR、2004)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性が区分3であるものの、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC=12.5mg/L(EU-RAR、2004)から判断して、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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