GHS分類結果

名称:ヒ酸
CAS番号:7778-39-4

結果:
物質ID: 466
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外(水溶液) - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外(水溶液) - - - - 水溶液はGHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外(水溶液) - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外(水溶液) - - - - 水溶液はGHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外(水溶液) - - - - 水溶液はGHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外(水溶液) - - - - HSDB(2006)では0.5水和物を不燃性としている。
7 可燃性固体 分類対象外(水溶液) - - - - 水溶液はGHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外(水溶液) - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外(水溶液) - - - - HSDB(2006)では0.5水和物を不燃性としている。
10 自然発火性固体 分類対象外(水溶液) - - - - 水溶液はGHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない(水溶液) - - - - 水溶液は液体であり、液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外(水溶液) - - - - 水に対して安定(水溶液中でのみ存在する(Lide,84th,2003))。
13 酸化性液体 区分外(水溶液) - - - - 酸素を含む無機化合物であり、ICSC(2004)では80%水溶液を強力な酸化剤としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1553(液体))。
14 酸化性固体 分類対象外(水溶液) - - - - 水溶液はGHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外(水溶液) - - - - 有機化合物でない。
16 金属腐食性物質 区分外(水溶液) - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1553(液体))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 48 mg/kg(RTECS(2006))から、区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。 健康有害性については、【ID1075、ヒ酸ナトリウム、CAS:13464-38-5】、【ID1088、亜ヒ酸ナトリウム、CAS:7784-46-5】、【ID54、砒素、CAS:7440-38-2】、【ID55、三酸化二ヒ素(亜ヒ酸)、CAS:1327-53-3】 も参照のこと。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
NTP(2005)でK(Arsenic Compounds, Inorganic)、IARC(1987)でGroup 1(ARSENIC AND ARSENIC COMPOUNDS)、ACGIH(2001)でA1(Arsenic and inorganic compounds)、日本産業衛生学会で1(ヒ素およびヒ素化合物(Asとして))に分類されていることから、「区分1A」とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EHC 224(2001)の記述から、経口投与試験で母動物に一般毒性影響のみられる用量で、吸収胚の増加や胎児体重の減少がみられたことにより区分2とした。 健康有害性については、【ID1075、ヒ酸ナトリウム、CAS:13464-38-5】、【ID1088、亜ヒ酸ナトリウム、CAS:7784-46-5】、【ID54、砒素、CAS:7440-38-2】、【ID55、三酸化二ヒ素(亜ヒ酸)、CAS:1327-53-3】 も参照のこと。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(消化管、循環器、神経、血液系、呼吸器、皮膚、腎臓、骨髄、肝臓) 危険 H370: 臓器の障害(消化管、循環器、神経、血液系、呼吸器、皮膚、腎臓、骨髄、肝臓) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでは、「ヒ素化合物のヒトでの急性毒性としては消化管、循環器、神経、血液系の症状、結膜炎及び皮膚炎を生じさせると同様に鼻粘膜、咽頭、気管への刺激、ヘモグロビン塊の尿細管遮断による頻尿もしくは無尿症」(IARC 84(2004))、「骨髄機能抑制、肝臓肥大」(EHC 224(2001))等の記載があることから、消化管、循環器、神経、血液系、呼吸器、皮膚、腎臓、骨髄、肝臓が標的臓器と考えられた。 以上より分類は、区分1(消化管、循環器、神経、血液系、呼吸器、皮膚、腎臓、骨髄、肝臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、皮膚、肝臓、心血管系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器、皮膚、肝臓、心血管系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでの慢性毒性としては「鼻-咽頭炎および鼻中隔穿孔を含むさまざまな呼吸器上部症状」、「飲料水由来の呼吸器障害」、「色素沈着及び角化症」、「肝硬変」、「心血管異常」、「末梢血管障害」(IARC 84(2004))等の記載があることから、呼吸器、皮膚、肝臓、心血管系が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器、皮膚、肝臓、心血管系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50=2.0ppm(AQUIRE、2003)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分2、金属化合物であり水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る