GHS分類結果

名称:ビス(N,N-ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛
CAS番号:137-30-4

結果:
物質ID: 463
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - ICSC(2004)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2771 チオカーバメート系殺虫殺菌剤類(固体、毒性のもの)(ICSC(2004)))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2771 チオカーバメート系殺虫殺菌剤類(固体、毒性のもの)(ICSC(2004)))。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2771 チオカーバメート系殺虫殺菌剤類(固体、毒性のもの)(ICSC(2004)))。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定(水溶解度65mg/L(25℃)、SRC(2006))。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点が55℃以上のものについては固体状の物質に適した試験方法が確立していないので分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 500 mg/kg、1,400 mg/kg、1,750 mg/kg、650 mg/kg、267 mg/kg(IUCLID(2000))に基づき、計算式を適用して区分した。LD50=594mg/kgから区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 > 2,000 mg/kg、>5,010 mg/kg(IUCLID(2000)から、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)のLC50 0.07 mg/L(4時間)(IUCLID(2000))、0.081 mg/L(4時間)(IUCLID(2000))が得られた。飽和蒸気圧7.5×10^(-9)mmHg(外挿法)[換算値 1.0×10^(-6)Pa(外挿法)](SRC(2006))における飽和蒸気圧濃度は9.9×10^(-6)ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より高い濃度であるため、「粉塵」として、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ラットを用いた皮膚刺激性試験のデータ(IUCLID(2000))で、「軽度の刺激性がみられる」ことから、4時間適用か不明であるが、「軽度の刺激性を有する」と考え、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験のデータ(IUCLID(2000))で、「中等度から重度の刺激性がある」ことから、非可逆的病変ではない「強い刺激性を有する」と考え、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分1B 危険 H340: 遺伝性疾患のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
NTP DB(Access on July 2006)、EHC 78(1988)、IARC 53(1991)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陽性、生殖細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陽性、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陽性、であることから「区分1B」とした。
6 発がん性 区分外 - - - - IARC(1991)でGroup 3であることから、「区分外」とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC 53(1991)の記述から、ラットの催奇形性試験において、親動物での一般毒性が発現する用量で児に内臓奇形がみられていることから、「区分2」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(全身毒性)、区分2(神経系)、区分3(気道刺激性) 警告
危険
H370: 臓器の障害(全身毒性)
H371: 臓器の障害のおそれ(神経系)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「濃度不明のジラム液0.5Lを飲用したところ、数時間以内に死亡した。病理学的には非特異的な症状であった」(IARC 53(1991))、「小腸粘膜の壊死、多臓器にわたる鬱血と光顕的に判別できる浮腫、漏出性出血、限局性無気肺、急性肺気腫、および肺胞・気管支の上皮剥離が見られた。病理学的には非特異的であった。」(HSDB(2003))等の記述から全身毒性を示すと考えられた。 また、ICSC(J)(2000)には「気道を刺激する」との記載があり気道刺激性を有すると考えられた。実験動物については、「傾眠、運動能の変化」(IUCRID(2000))の記述があり、神経系が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(全身毒性)、区分2(神経系)、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓)、区分2(血液系、副腎、神経系、腎臓、筋肉、膀胱) 警告
危険
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系、副腎、神経系、腎臓、筋肉、膀胱)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IPCS(J)に「中枢神経系に影響を与えることがある」(2000)の記述があり、実験動物については、「赤血球数、PCV、ヘモグロビンの減少、循環網状赤血球数の増加」、「小葉中心に線維細胞が見られた 」(JMPR Ziram(Pesticide residues in food 1996 evaluations Part II Toxicological))、「副腎皮質の肥大、変性、空胞化が見られた。坐骨神経の軸索変性や尿細管上皮へのリポフスチン沈着の増加が見られた。骨格筋において末梢筋繊維束の脂肪置換と狭窄が増加した。胆管の過形成、色素沈着した類洞細胞の増加がみられた」、「膀胱上皮の過形成が増加」(HSDB 2003)の記述があることから、血液系、肝臓、副腎、神経系、腎臓、筋肉、膀胱が標的臓器と考えられた。なお実験動物への影響は、肝臓への影響が区分1、血液系、副腎、神経系、腎臓、筋肉、膀胱への影響が区分2のガイダンス値の範囲で見られた。 以上より、分類は区分1(肝臓)、区分2(血液系、副腎、神経系、腎臓、筋肉、膀胱)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=0.14mg/L(EHC78、2001)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.23(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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