GHS分類結果

名称:N,N'-エチレンビス(ジチオカルバミン酸)亜鉛
CAS番号:12122-67-7

結果:
物質ID: 362
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - ICSC(2004)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2771 チオカーバメート系殺虫殺菌剤類、固体、毒性のもの(ICSC(2004)))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2771 チオカーバメート系殺虫殺菌剤類、固体、毒性のもの(ICSC(2004)))。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2771 チオカーバメート系殺虫殺菌剤類、固体、毒性のもの(ICSC(2004)))。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定(水溶解度0.922mg/L(25℃)(農薬登録申請資料))。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 融点が55℃以上のものについては固体状の物質に適した試験方法が確立していないので分類できない(190℃で分解(農薬登録申請資料))。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分6.1(国連番号2771 チオカーバメート系殺虫殺菌剤類、固体、毒性のもの(ICSC(2004)))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラット経口投与でのLD50>5000mg/kg(農薬登録申請資料(1985))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラット経皮投与でのLD50>2000mg/kgであり、その用量で死亡例が見られていない(農薬登録申請資料(1988))ことから、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラット吸入暴露での急性毒性試験において、LC50>2.9mg/Lのデータはあるが、それ以上の用量でのデータがない(農薬登録申請資料(1993))ため、分類できないとした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギでの皮膚刺激性試験において、72時間まで継続する極軽度の刺激性が報告されている(農薬登録申請資料(1970))ことから、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギでの眼刺激性試験において、刺激性を示さないとのデータがある(農薬登録申請資料(1985))ことから、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットによるMaximization法での皮膚感作性試験が陽性とのデータがある(農薬登録申請資料(1976))ことから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - in vitro復帰変異試験、染色体異常試験、DNA修復試験で陰性、マウスでのin vivo遺伝毒性試験(宿主経由試験)で陰性である(農薬登録申請資料(1975))ことから、区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - ラット24ヶ月およびマウス18ヶ月での発がん性試験においては、試験物質の投与に関連した腫瘍の発生がないとのデータがあるが、ラット30ヶ月発がん性試験では腫瘍の発生が見られたとのデータがある(農薬登録申請資料(1978、1987、1995))。既存分類がなく、発がん性については分類できないとした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラット2世代繁殖性試験、ウサギでの催奇形性試験において、生殖能や仔動物への影響がないとのデータ(農薬登録申請資料(1978、1989))に基づき、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物実験において、自発運動低下、うずくまり、眼瞼下垂ないし閉眼、立毛、呼吸数の軽度減少等の症状が見られている(農薬登録申請資料(1985))ことから、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EHC 78(1988)のヒトへの健康影響の記述において、zineb製造に携わっていた作業員において疫学研究を行った結果「zinebに職業暴露された労働者間で、以下の変化が見られた・・・:慢性気管支炎(作業者:4.4%、対象群:0.5%)」との報告があることから、呼吸器が標的と考えられ、区分1とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=0.97mg/L(EHC78、2001)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.3(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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