GHS分類結果

名称:硝酸バリウム
CAS番号:10022-31-8

結果:
物質ID: 308
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - 硝酸塩類であり、爆発性に関わる原子団を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分5.1およびクラス・区分6.1(国連番号1446)。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,2004)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 硝酸塩類であり、爆発性に関わる原子団を含むが、酸化性固体に分類されている。国連危険物輸送勧告がクラス・区分5.1およびクラス・区分6.1(国連番号1446)。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,2004)。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,2004)。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定(水溶解度8.7g/100mL(20℃)、ICSC(2004))。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分2 危険 H272: 火災助長のおそれ:酸化性物質 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P220: 衣類/.../可燃物から遠ざけること。
P221: 可燃物と混合を回避するために予防策をとること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
酸素含む無機化合物であり、ICSC(2004)では強力な酸化剤としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分5.1であることから「酸化性固体」に該当するが、クラス・区分6.1の副次危険性を持つので、容器等級IIからは区分2もしくは区分3に該当する(国連番号1446)。GHS分類では安全性の観点から区分2とした。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 有機化合物でない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 355mg/kg(EHC 107(1990))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 24時間適用試験であるが、ウサギを用いた皮膚刺激性試験で「軽度の刺激性がみられた」という記述から、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験のデータ で、「重度の刺激性がみられた」と記載があるが、腐食性の記載がないことから、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(心血管系、筋肉)、区分2(神経系、腎臓)、区分3(気道刺激性、麻酔作用) 危険
警告
H371: 臓器の障害のおそれ(神経系、腎臓)
H370: 臓器の障害(心血管系、筋肉)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「ヒトではバリウム化合物の摂取(事故もしくは故意)は胃腸炎(嘔吐、下痢、腹痛)、低カリウム血症、不整脈および骨格筋麻痺を引き起こす」(CICAD 33(2001))、「眼、皮膚、気道を刺激する。低カリウム血を起こすことがある。心臓障害、筋障害を生じることがある。死に至ることがある」(ICSC(J)(2004))、「ヒトでの事例で以下の症状が観察された:攣縮性腓腹筋痛、対痛覚過敏、対光反応低下、足指反射消失、全身におよぶ間歇的筋収縮;洞調律は心室性期外収縮によりさえぎられた、タンパク尿、尿中の赤血球・白血球の増加」(IUCLID(2000))、「感覚異常、脱力」(RTECS(2006))、等の記述、実験動物については、「痙攣をともなう後肢不全麻痺が見られた」(IUCLID(2000))、「傾眠、テタニー」(RTECS(2006))等の記述があることから、呼吸器刺激性および麻酔作用を有し、心血管系、中枢神経系、筋肉、腎臓を標的臓器とすると考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。またヒトでのデータの一部はPriority2に属することから、分類は区分1(心血管系、筋肉)、区分2(神経系、腎臓)、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データなし。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(イトヨ)の96時間LC50=ca.1900mg/L(IUCLID、2000)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=87000mg/L(HSDB、2004))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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