名称:硝酸鉛
CAS番号:10099-74-8
物質ID: | 303 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分外 | - | - | - | - | 硝酸塩類であり爆発性に関する原子団を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分5.1およびクラス・区分6.1(国連番号1469)。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC,2004)。 |
8 | 自己反応性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 硝酸塩類であり爆発性に関する原子団を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分5.1およびクラス・区分6.1(国連番号1469)。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC,2004)。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC,2004)。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水に対して安定(水溶解度52g/100mL(20℃)、ICSC(2004))。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分2 | 危険 | H272: 火災助長のおそれ:酸化性物質 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P220: 衣類/.../可燃物から遠ざけること。 P221: 可燃物と混合を回避するために予防策をとること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
酸素を含む無機化合物であり、ICSC(2004)では他の物質の燃焼を助長するとしているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分5.1であることから「酸化性固体」に該当するが、クラス・区分6.1の副次危険性を持つので、容器等級IIからは区分2もしくは区分3に該当する(国連番号1469)。GHS分類では安全性の観点から区分2とした。 | |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 有機化合物でない。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ICSC(J)(1999)に、ヒトへの急性症状として皮膚の「発赤・痛み」がみられるとの記述があることから、程度は不明であるものの皮膚刺激性を示すものと考られ、区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A-2B | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ICSC(J)(1999)に、ヒトへの急性症状として眼の「発赤・痛み」がみられるとの記述があることから、程度は不明であるものの眼刺激性を示すものと考えられるため、区分2Aあるいは2Bとしたが、細区分が必要な場合には、安全性の観点から、区分2Aとした方が望ましい。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
DFGOTvol.17(2002)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo変異原性試験なし、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、体細胞in vivo遺伝毒性試験(SCE試験)で陽性、in vitro変異原性試験(遺伝子突然変異試験)で陽性、であることから区分2とした。 | |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
NTP(2005)でR、IARC(1987)でGroup 2B、ACGIH(2001)でA3、日本産業衛生学会で2Bに分類されていることから、区分2とした。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分1A | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
鉛はヒトで、発生神経毒性物質、生殖毒性物質として知られていることから、専門家の判断に基づき、区分1Aとした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(血液系、腎臓、神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(血液系、腎臓、神経系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質については、無機鉛化合物の影響を基に分類するものとする。 無機鉛化合物の毒性として、ヒトについては、「無機鉛の急性影響及び慢性影響はほぼ同様の症状が認められている。無機鉛の吸入もしくは経口摂取により口内の収斂、渇き、消化器への影響として吐き気、嘔吐、上腹部不快感、食欲不振、腹痛、便秘などを引き起こすと報告されている。造血機能への影響は無機鉛の代表的な作用であり、δ-アミノレブリン酸及びヘム合成酵素の阻害に起因したヘモグロビン合成阻害、赤血球寿命の短縮による貧血が認められている。腎臓への影響として間質性腎障害(interstitial nephropathy)、尿量減少のほか、蛋白尿、血尿、尿円柱、糖尿及びアミノ酸尿などに代表されるFanconi 症候群を呈する近位尿細管障害が報告されている。無機鉛は末梢神経系に作用し、特に四肢の筋の虚弱、疼痛、痙攣が認められている。また、成人においては非常にまれであるが、極めて高濃度(詳細不明)の暴露を受けた場合、運動失調、頭痛、知覚異常、抑うつ、昏睡などの中枢神経系への影響が認められている。しかしながら、中枢神経系への影響は、特に小児において感受性が高く、落ち着きがない、攻撃的性格、集中困難、記憶力低下などを伴う症状が米国で問題となっている。」(CERIハザードデータ集 2001-9(2002))の記述があることから、血液系、腎臓、神経系が標的臓器と考えられた。 以上より、区分1(血液系、腎臓、神経系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(血液系、腎臓、神経系) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液系、腎臓、神経系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質については、無機鉛化合物の影響を基に分類するものとする。 無機鉛化合物の毒性として、ヒトについては、「無機鉛の急性影響及び慢性影響はほぼ同様の症状が認められている。無機鉛の吸入もしくは経口摂取により口内の収斂、渇き、消化器への影響として吐き気、嘔吐、上腹部不快感、食欲不振、腹痛、便秘などを引き起こすと報告されている。造血機能への影響は無機鉛の代表的な作用であり、δ-アミノレブリン酸及びヘム合成酵素の阻害に起因したヘモグロビン合成阻害、赤血球寿命の短縮による貧血が認められている。腎臓への影響として間質性腎障害(interstitial nephropathy)、尿量減少のほか、蛋白尿、血尿、尿円柱、糖尿及びアミノ酸尿などに代表されるFanconi 症候群を呈する近位尿細管障害が報告されている。無機鉛は末梢神経系に作用し、特に四肢の筋の虚弱、疼痛、痙攣が認められている。また、成人においては非常にまれであるが、極めて高濃度(詳細不明)の暴露を受けた場合、運動失調、頭痛、知覚異常、抑うつ、昏睡などの中枢神経系への影響が認められている。しかしながら、中枢神経系への影響は、特に小児において感受性が高く、落ち着きがない、攻撃的性格、集中困難、記憶力低下などを伴う症状が米国で問題となっている。」(CERIハザードデータ集 2001-9(2002))の記述があることから、血液系、腎臓、神経系が標的臓器と考えられた。 以上より、区分1(血液系、腎臓、神経系)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(ヨコエビ科)の96時間LC50=0.124mg/L(EHC85、1989)(硝酸鉛濃度換算値:0.198mg/L)から、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=250(既存化学物質安全性点検データ))、金属化合物であり水中での挙動が不明であるため、区分1とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |