GHS分類結果

名称:1,2-エポキシブタン
CAS番号:106-88-7

結果:
物質ID: 224
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点-12〜-22℃、初留点63〜63.3℃から区分2(GHS基準:引火点23℃未満および初留点35℃超)とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 自己反応性に関わる原子団としてエポキシド類(歪みのある環)を含むが、UNRTDG クラス3 に基づき区分外とした。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点439℃(ICSC(1997)、NFPA(13th, 2002)、HSDB(2003))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3 に基づき区分外とした。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素または塩素を含んでいない有機化合物。酸素を含むが、この酸素は炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの4データ(SIDS(2001)、DFGOT vol.5(1990))から計算で得られたLD50=659.3mg/kgに基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4 警告 H312: 皮膚に接触すると有害 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギの3データ(SIDS(2001)、DFGOT vol.5(1990)、PATTY(5th, 2001))から計算で得られたLD50=1744mg/kgに基づき、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 本物質の飽和蒸気圧濃度は171000ppm(58.0mg/L)であり、吸入試験はいずれも蒸気で行われたと考えられる。ラットLC50 > 18600ppm(SIDS(2001))と、ラットLC50 >2000ppm(PATTY(5th, 2001)vol.6)という2つのラットデータがあるが、相互に大きくかけ離れたデータであり、プライオリティが同等であるため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで皮膚刺激性があり、発赤を生じるとの記載(SIDS(2001)、ICSC(J)(2000))がある。ウサギでは、非密閉下で皮膚刺激性を認めなかった記載(SIDS(2001)、DFGOT vol. 5(1990))があるが、密閉条件下では1時間の暴露で4例中2例に皮膚の全層にわたる壊死を認めている。これは真皮に至る壊死と考えられる。また、こうした条件下では腐食性があるとの記載(SIDS(2001))もある。このように試験条件によって皮膚への影響は大きく異なるが、安全性の観点から、動物において重篤な障害を認めた試験データ(SIDS(2001))に基づき、区分1A-1Cとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギで皮膚腐食性があるとのデータ(SIDS(2001))に基づき、技術指針に従い区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - 2つのmaximisation testおよび試験法の記載はないがモルモットの1試験において、いずれも皮膚感作性がないとの記載(SIDS(2001)、PATTY(5th, 2001)に基づき、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ラットを用いる優性致死試験、ラット骨髄細胞を用いるin vivo染色体異常試験およびラットによるin vivo遺伝毒性試験において、いずれも陰性であったとの記載(SIDS(2001))に基づき、技術指針に従い区分外とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCで2B、産業衛生学会で2B、EUで3と分類していることに基づき、技術指針に従い区分2とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
親動物に死亡が見られる用量で児の発育不良と同腹生児数減少傾向が認められたとの記載(SIDS(2001))、および親動物における毒性徴候の記載がないが、24腹中2腹で児数の減少と胎児吸収の増加を認めたとの記載(SIDS(2001))に基づき、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで気道刺激性(PATTY(5th, 2001))が記載され、動物でも粘膜刺激、呼吸困難の記載があり(SIDS(2001), DFGOT vol. 5(1990))、気道刺激性があると考えられることに基づき、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(神経系、呼吸器系、腎臓、嗅覚器) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(神経系、呼吸器系、腎臓、嗅覚器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスの試験で、挙尾、運動不安定などの神経症状(SIDS(2001))、肺の出血(SIDS(2001)、IRIS(2005), DFGOT vol. 5(1999))、腎症(SIDS(2001)、IRIS(2005), DFGOT vol. 5(1999))、および腎尿細管壊死(SIDS(2001))の記載がある。また、鼻腔内組織(粘膜)の炎症または壊死の所見が、ほとんど全てのデータに記載されている(SIDS(2001)、IRIS(2005), DFGOT vol. 5(1999))。これらの毒性発現用量が、いずれも反復暴露における区分2のガイダンス値範囲内の暴露量における所見であることに基づき、区分2(神経系、呼吸器系、腎臓、嗅覚器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=69.8mg/L(SIDS、2004)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:109%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.86(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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