GHS分類結果

名称:メチル-1,3-フェニレン=ジイソシアネート
CAS番号:26471-62-5

結果:
物質ID: 208
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - ICSC(2004)では、2,4-体、および2,6-体の引火点を、ともに127℃としており、「区分外」に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点620℃(2,4-体および2,6-体)(ICSC,2004))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号2078)。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットを用いた経口投与試験のLD50 7500 mg/kg(CERIハザードデータ集 97-20(1998))、5800 mg/kg(NTP TR251(1986))、3060mg/kg(EHC 75(1987))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 3332mg/kgから区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 10210 mg/kg(CERIハザードデータ集 97-20(1998))、19360 mg/kg(CERIハザードデータ集 97-20(1998))、10000mg/kg(EHC 75(1987))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 10000mg/kgから区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験(粉塵・ミスト)のLC50(4時間)0.099mg/L(CERIハザードデータ集 97-20(1998))、0.355mg/L(CERIハザードデータ集 97-20(1998))、0.34mg/L(EHC 75(1987))、0.355mg/L(EHC 75(1987))に基づき、計算式を適用し、LC50(4時間換算値)の26ppmが得られた。 飽和蒸気圧飽和蒸気圧67Pa(25度)(CERIハザードデータ集 97-20(1998))における飽和蒸気濃度は660ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気濃度の90%よりも低い濃度なので「ミストがほとんど混在しない蒸気」としてppm濃度基準値で区分1とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
DFGOT vol.20(2005)のウサギを用いた24時間適用皮膚刺激性試験結果「on the surface of the skin as well as necrosis and the formation of granulomas」、また1時間ないし4時間皮膚刺激性試験結果「undiluted TDI 80/20 was evaluated as caustic. The skin was visibly healing, but the changes were not completely reversible within the follow-up period of 8 and 28days. 」から、非可逆的作用を有すると考えられるため、区分1A-1Cとしたが、安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
CERIハザードデータ集 97-20(1998)のウサギを用いた眼刺激性試験のデータ「刺激性を有し、角膜上皮に弱い障害を生じる」、EHC 75(1987)の「immediate reaction suggestive of pain, lachrymation, swelling of the eyelids, a conjunctival reaction, and mild damage to the cornea .」及び、CERIハザードデータ集 97-20(1998)、NTP TR251(1986)、EHC 75(1987)、DFGOT vol.20(2005)、ACGIH(7th, 2004)のヒト健康影響の記述より、回復時間は不明だが、刺激性を有すると考えられるため、区分2A-2Bとしたが、安全性の観点から、2Aとした方が望ましい。
4 呼吸器感作性 区分1 危険 H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集 97-20(1998)、EHC 75(1987)、DFGOT vol.20(2005)、ACGIH(7th, 2004)のヒト健康影響の記述、及び日本職業・環境アレルギー学会特設委員会「呼吸器感作性物質」、産衛学会勧告(2005)「気道第1群」という既存分類より、区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集 97-20(1998)、EHC 75(1987)、DFGOT vol.20(2005)の動物を用いた皮膚感作性試験結果「陽性」、EHC 75(1987)、DFGOT vol.20(2005)、ACGIH(7th, 2004)のヒト健康影響の記述、及び産衛学会勧告(2005)「皮膚第2群」、ACGIH-TLV(2005)「SEN」という既存分類より、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 経世代変異原性試験/生殖細胞in vivo変異原性試験/体細胞あるいは生殖細胞in vivo遺伝毒性試験データが無く、体細胞 in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性結果があることによる。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(2001)の分類がA4であるが、IARC71(1999)で2B、産衛学会勧告(2004)で2Bに分類しており、指針に従いIARCの分類を優先して区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - IRIS(1995)の記述から、親世代で影響のみられない濃度で、児世代に鼻炎とそれに関連する咽頭や気管での変化及び体重減少がみられているが、親世代と同様の影響であること、かつ分類に使用できるデータが少ないことによる。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、中枢神経系) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器、中枢神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「眼、気道、皮膚に対する刺激性、激しい乾性の咳、喀痰、胸部絞扼感、呼吸困難、悪心、嘔吐、重篤な気管支痙攣を伴った気管支炎、肺水腫、肺炎、長期に亘って頭痛、健忘、集中力欠如、錯乱、人格の変化、易刺激性、鬱のような中枢神経系に対する影響」(CERIハザードデータ集 97-20(1998))、「高揚感、運動失調、断続的な四肢の痙攣、めまい、意識消失、頭痛、集中力欠如、記憶障害、混乱、被刺激性、抑うつ」(EHC 75(1987))等の記述があることから、呼吸器、中枢神経系が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器、中枢神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)、区分2(肝臓) 警告
危険
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「喉への刺激性、呼吸困難」(EHC 75(1987))等の記述、実験動物については、「鼻腔の炎症、間質性肺炎、カタル性気管支炎、気管炎、気管支炎、肺炎に伴って細気管支壁における線維組織の増生」(CERIハザードデータ集 97-20(1998))、「肺、気管、肝臓で被験物質投与によると考えられる変化が観察された、気管支肺炎、肺の気管支上皮の再生像および線毛消失、肝臓の脂肪化」(厚労省報告(2001))等の記述があることから、呼吸器、肝臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、呼吸器への影響が区分1、肝臓への影響が区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器)、区分2(肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
加水分解物であるトルエンジアミンの毒性を示すと考えられ、トルエンジアミン測定濃度から算出した魚類(マダイ)の96時間LC50=0.153mg/L(CERI・NITE有害性評価書(暫定版)、2006)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=3.74(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(分解物のBODによる分解度:0%(CERIハザードデータ集、1997))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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