GHS分類結果

名称:1,2,4-ベンゼントリカルボン酸1,2-無水物
CAS番号:552-30-7

結果:
物質ID: 195
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - ICSC(1999)では可燃性としているが、データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットを用いた経口投与試験のLD50=2,030 mg/kg、3,340 mg/kg(SIDS(2003))から低い方の値を適用し、「区分5の範囲内にあることを示す信頼できる証拠」にもとづいて、区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた経皮投与試験の LD50=5,600 mg/kg(SIDS(2003))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギを用いた皮膚刺激性試験(4時間)の結果の記述に「mild irritation was observed(軽度の刺激性がみられた)」(SIDS(2003))、 また、「軽度の刺激性を有する」(CERI ハザードデータ集 2001-33(2002))とあることから、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に、「強い刺激性を有する」(CERI ハザードデータ集 2001-33(2002))、「the material should be considered severe eye irritants」(SIDS(2003))、および「TWAN into rabbit eye produced irritation scores of 105.6/110.0 on day 2 and 97.0/110.0 on day 7, a positive indicator that TWAN can produce ocular burns.」(ACGIH(7th, 2001))から、非常に強い刺激性を有すると考えられ、区分1とした。
4 呼吸器感作性 区分1 危険 H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI ハザードデータ集 2001-33(2002)のヒトへの健康影響の記述「本物質を扱う労働者の29%にアレルギー性呼吸器系疾患がみられた」等から、呼吸器感作性を有すると考えられ、区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットを用いた Maximization 法、Murine lymph node assay による試験結果の記述に「陽性」(CERI ハザードデータ集 2001-33(2002))等から、皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - SIDS(2003)、NTP DB(Access on Feb., 2006)の記述から、in vivo変異原性/遺伝毒性試験がなく、in vitro変異原性試験(染色体異常試験、突然変異試験)で陰性であるため、分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足(生殖影響に関するデータなし。)のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「本物質に暴露された作業者で上部気道への刺激性が報告されている」(CERIハザードデータ集 2001-33(2002))等の記述、実験動物については、「肺深部迷走神経末端への直接刺激によるものと考えられる不整呼吸及び一時的な呼吸停止」(CERIハザードデータ集 2001-33(2002))、「肺に赤色病巣、斑点、液体貯留」(SIDS(2003))等の記述があることから、呼吸器を標的臓器と判断した。なお、実験動物に対する影響は区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、血液系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器、血液系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「アレルギー性の喘息、鼻炎、過敏性呼吸器系症候群、肺疾患、貧血症候群、遅発性喘息、刺激性によるくしゃみ、鼻出血、咳、呼吸困難」(CERIハザードデータ集 2001-33(2002))、「TMA関連性肺機能障害、免疫系応答」(SIDS(2003))等の記述、実験動物については、「肺の出血、気管支肺炎」(CERIハザードデータ集 2001-33(2002))等の記述があることから、肺を含む呼吸器、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器、血液系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50>792mg/L(CERI・NITE有害性評価書(暫定版)、2006)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=1036mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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