GHS分類結果

名称:1,3-ブタジエン
CAS番号:106-99-0

結果:
物質ID: 181
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
ICSC(2004)による爆発限界下限値は1.1vol%であり、「区分1」に該当する。国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス・区分2.1(国連番号1010)。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類できない - - - - データなし。なお、国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス・区分2.1(国連番号1010)。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 ICSC(2004)による沸点は-4℃、かつHSDB(2005)による臨界温度は161.8℃であり、「液化ガス」に該当する。国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス・区分2.1(国連番号1010)。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50=5,480 mg/kg(EU-RAR No.20(2002))に基づくと、区分外に分類される。しかし、1,3-ブタジエンは常温でガス状であり、水に対する溶解度が735 mg/L(CERI・NITE有害性評価書 No.9, 2005)であるが、1,3-ブタジエンの経口投与の方法が不明であり、信頼できるデータであると考えられないので、「分類できない」とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分外 - - - - ラットを用いた吸入暴露試験(ガス)のLC50(4時間)= 129,000 ppm(EU-RAR No.20(2002))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるので、蒸気での吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるので、粉塵・ミストでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。 なお、液化1,3-ブタジエンの接触により、皮膚に凍傷を起こした事例報告がある(CERI・NITE有害性評価書 No.9(2005))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - EU-RAR No.20(2002)の記述から、ヒト、ウサギに対して眼刺激性を示すと考えられるが、EU-RARは「常温でブタジエンはガス状であるため、通常の眼刺激性試験を行うことができない」というコメントをしているので、「分類できない」とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分1B 危険 H340: 遺伝性疾患のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EU-RAR No.20(2002)の記述から、経世代変異原性試験(マウス優性致死試験)で陽性であることから、区分1Bとした。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
NTP(2005)で "K(Known to be human carcinogens)" に分類されていることから、区分1Aとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足(親動物の生殖能に関するデータなし。)のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「咳を伴う眼、鼻道、喉頭及び肺への刺激」(CERI ハザードデータ集96-21(1997))、実験動物についての「軽度の麻酔状態」(CERI・NITE有害性評価書 No.9(2004))等の記述があることから気道刺激性、麻酔作用があると考えられた。 以上より、分類は区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(卵巣)、区分2(血液系、心臓、肝臓、骨髄、精巣) 危険
警告
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(卵巣)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系、心臓、肝臓、骨髄、精巣)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「大球性巨赤芽球性貧血、卵巣萎縮、心筋の鉱質化、肝臓小葉中心性壊死、骨髄萎縮、精巣萎縮」(CERI・NITE有害性評価書 No.9(2004))等の記述があることから、血液系、卵巣、心臓、肝臓、骨髄、精巣が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、卵巣では区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられ、血液系、心臓、肝臓、骨髄、精巣では区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(卵巣)、区分2(血液系、心臓、肝臓、骨髄、精巣)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - 分類対象外

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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