GHS分類結果

名称:ニトログリセリン
CAS番号:55-63-0

結果:
物質ID: 173
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 不安定爆発物 危険 H200: 不安定爆発物 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P372: 火災の場合に爆発する危険性あり。
P374: 適当な距離から注意して消火すること。
P380: 区域より退避させること。
P401: ...に保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
UNRTDG 輸送禁止爆発性物質。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
6 引火性液体 区分外 - - - - UNRTDG 輸送禁止爆発性物質。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 不安定な火薬類に分類。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 製造または取扱い時の経験から、常温で空気と接触しても自然発火しないことが既知。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG 輸送禁止爆発性物質。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属原子を含んでいない。
13 酸化性液体 区分外 - - - - UNRTDG 輸送禁止爆発性物質。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット経口LD50値=100mg/kg(CERIハザードデータ集(2001))、120mg/kg(CERIハザードデータ集(2001))、822mg/kg(PATTY(1994))に基づき計算式を適用したが、計算値がこれらのデータの最低値よりも小さいため最低値の100mg/kgを採用し、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラット経皮LD50値>29200mg/kg(CERIハザードデータ集(2001))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
PATTY(1994)には、ウサギへの濃度7.29%溶液の適用で眼刺激性なし(No eye irritation)との記述はあるが、ICSC(J)(1995)、HSFS(2001)、SITTIG(2002)に、ヒトでは眼を刺激するとの記述から、区分2A-2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
PATTY(1994)のモルモットを用いたMaximization testで動物の40%が反応したとの記述から、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ラットを用いた優性致死試験で陰性(PATTY(1994))の記述から、区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
HSDB(2005)のラット3世代繁殖試験でF0の生殖能力等には影響がなかったが、次世代の雄では高用量群に精巣間質細胞の増加、精子低形成による不妊が認められるとの記述から、区分2と判定される。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(心血管系、血液) 危険 H370: 臓器の障害(心血管系、血液) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集(2001)、産衛学会勧告(1986)の急性中毒症状として血圧低下、メトヘモグロビン血症が報告されているとの記述、ACGIH(2001)、産衛学会勧告(1986)のニトログリセリンとEGDNの混合物吸入暴露例に血圧低下がみられたとの記述、また、CERIハザードデータ集(2001)の狭心症が起きているとの記述から、標的臓器は心血管系と血液と考えられ、いずれも区分1とした。職業暴露でみられる強い頭痛は脳血管の拡張による二次的影響と考えられた。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(心血管系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(心血管系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集(2001)、ACGIH(2001)、PATTY(1994)、産衛学会勧告(1986)の職業暴露例の疫学調査で心・脳血管疾患による死亡率が高いことが報告されているとの記述から、標的臓器は心血管系と考えられ、区分1とした。職業暴露でみられる頭痛は脳血管の拡張による二次的影響と考えられた。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=1.38mg/L(CERIハザードデータ集、2002)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.62(PHYSPROP Database、2005)、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)ことから、区分2とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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