GHS分類結果

名称:3,3'-ジクロロベンジジン
CAS番号:91-94-1

結果:
物質ID: 138
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
7 可燃性固体 分類できない - - - - 「可燃性」との情報があるが(ICSC(J)(1994))、規定試験法によるデータなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が350℃である(ICSC(J)(1994))。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素またはフッ素を含んでいない。塩素を含むが、この塩素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値=7070mg/kg(CERIハザードデータ集(2002)、環境省リスク評価第3巻(2004)、IARC 29(1982)、ATSDR(1998))およびabout 7000mg/kg(ACGIH(7th, 2001))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50値=>8000mg/kg(CERIハザードデータ集(2002))およびウサギminimum lethal dose: greater than 8000mg/kg(ATSDR(1998))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - 環境省リスク評価 第3巻(2004)、CICAD 2(1998)、IARC 29(1982)およびATSDR(1998)にヒト職業暴露例(出典は2報のみ)に皮膚炎が認められたとの記述があるが、皮膚炎の原因についてATSDR(1998)には皮膚感作性の可能性が示唆されており、CERIハザードデータ集(2002)には皮膚一次刺激性の可能性は低いことを示唆するデータがあるが、これらを証明する動物実験データがなく、データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集(2002)、CICAD 2(1998)およびATSDR(1998)のウサギの眼に適用しても刺激性はみられなかったとの記述、およびヒト暴露例の眼刺激性を示す報告がないことから、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - CERIハザードデータ集(2002)、環境省リスク評価第3巻(2004)、CICAD 2(1998)、IARC 29(1982)およびATSDR(1998)にヒト職業暴露例に皮膚炎が認められたとの記述があるが、刺激性に因るか感作性に因るか判断するに足るデータ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
体細胞を用いるin vivo変異原性試験のほ乳類骨髄細胞を用いる染色体異常試験(CICAD 2(1998))、およびほ乳類赤血球を用いる小核試験(CERIハザードデータ集(2002)、CICAD 2(1998)、ATSDR(1998))で陽性の結果があり、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験で陽性の結果がないことから、区分2とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EUでカテゴリー2に分類されているが、IARCおよび日本産業衛生学会で2B、ACGIHでA3、EPAでB2、NTPでRに分類されていることから、区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(7th, 2001)にラットへの吸入暴露により刺激性と中等度の肺の充血(some irritation and moderate pulmonary congestion)を起こすとの記述があり、CERIハザードデータ集(2002)にヒト暴露例で喉の痛みの頻度が高いとの記述、環境省リスク評価第3巻(2004)にヒトへの影響として短期暴露によって気道を刺激するとの記述があることから、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=0.5mg/L(CaPSAR、1993)他から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=213(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:1%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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