名称:1,1-ジクロロエチレン(別名塩化ビニリデン)
CAS番号:75-35-4
物質ID: | 127 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分1 | 危険 | H224: 極めて引火性の高い液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ICSC(2004)による引火点は-25℃(密閉式)、かつ沸点は32℃であり、「区分1」に該当する。国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス3、容器等級I(国連番号1303)。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 化学構造に不飽和結合を含むが、データがなく分類できない。なお、国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス3、容器等級I(国連番号1303)。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点570℃(ICSC,2004))。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素およびフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 気体状の物質に適した試験方法が確立していない(沸点32℃(ICSC,2004)、試験温度55℃)。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた経口投与試験のLD50 1,550mg/kg、1,800mg/kg、1,500mg/kg(CICAD 51(2003))に基づき、計算式を適用して得られたLD50=1500 mg/kgから、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 | 危険 | H331: 吸入すると有毒 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P311: 医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)のLC50 1.66 mg/L(4時間)(CERI・NITE有害性評価書No.48(2004))、26.18 mg/L(4時間)(CERI・NITE有害性評価書No.48(2004))、25 mg/L(CICAD 51(2003))、25.4 mg/L(4時間)(EHC 100(1990))、60 mg/L(4時間)(EHC 100(1990))、28.4 mg/L(4時間)(EHC 100(1990)、2.4 mg/L(4時間)(EHC 100(1990))に基づき、計算式を適用してLC50(4時間換算値)の 2300ppmが得られた。飽和蒸気圧78.79kPa(25℃)における飽和蒸気圧濃度は780000ppmである。今回得られたLC50は飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」としてppm濃度基準値で区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | CERI・NITE有害性評価書No.48(2004)のウサギを用いた皮膚刺激性試験結果の記述「刺激性を示した」とあるが、「重合禁止剤に関与すると考えられている」との記述及びCICAD(2003)では皮膚刺激性を記載していないことから、データ不足のため「分類できない」とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | CERIハザードデータ集96-23(1998)、EHC100(19909のウサギの眼刺激性試験結果の記述「眼に一過性の角膜損傷を伴う中程度の刺激を有する」から、中等度の眼刺激性があると考えられるが、ATSDR(1994)の記述「1,1-dichloroethene is an ocular irritant in humans(EPA 1979b); this effect has also been ascribed to MEHQ.」及びCICAD(2003)が眼刺激性を評価していないことから、眼刺激性が重合禁止剤のMEHQによる可能性が否定できないので、データ不十分のため「分類できない」とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | CICAD 51(2003)、EHC 100(1990)、NTP DB(2006)の記載から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験、小核試験)で陰性であることから、区分外とした。 |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | EPA(2002)でC、ACGIH(2001)でA4、IARC(1999)で3に分類されていることから、区分外とした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
CERI・NITE有害性評価書No.48(2005)やCICAD 51(2003)の記述から、母動物に一般毒性のみられる用量で、次世代に影響がみられていることによる。なお、Dawsonら(1993)の実験で母動物に影響のみられない用量で心臓に変異がみれているが、CICAD 51(2003)では、本データについて、生物学的意味が不明であり、また本物質による影響とは結論できないとしていることから、分類の根拠としなかった。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(肝臓、腎臓、呼吸器)、区分3(麻酔作用) |
危険 警告 |
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) H370: 臓器の障害(肝臓、腎臓、呼吸器) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「中枢神経系の抑制ないし興奮症状を示し、重篤な場合は意識不明になる、数分の暴露で刺激性」(CERI・NITE有害性評価書 No.48(2005))等の記述、実験動物については、「毛細胆管の障害、近位尿細管の障害、肝細胞の小葉中心性壊死、肺にうっ血性水腫」(CERI・NITE有害性評価書 No.48(2005))等の記述があることから、肝臓、腎臓、呼吸器を標的臓器とし、麻酔作用をもつと考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(肝臓、腎臓、呼吸器)、区分3(麻酔作用)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(肝臓)、区分2(腎臓) |
危険 警告 |
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(腎臓) H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「肝機能障害」(CERI・NITE有害性評価書 No.48(2005))等の記述、実験動物については、「軽度の小葉中間性の脂肪変性を伴う肝細胞腫脹、軽微な腎臓退行性変性、膿瘍、腎炎、肝臓の脂肪変性と巣状壊死」(CERI・NITE有害性評価書 No.48(2005))等の記述があることから、肝臓、腎臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、肝臓に対する影響は区分1、腎臓に対する影響は区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(肝臓)、区分2(腎臓)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 区分2 | 警告 | H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P331: 無理に吐かせないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
「液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危険がある。」(ICSC(J)(2000))、「塩化ビニリデンを摂取した時は、水で口をすすがせた方が良い。塩化ビニリデンが喉頭や肺に入る誤嚥の危険性があるため、吐かせるべきではない。」(EHC 100(1990))の記載があるため、区分2とした。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=11.6mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2005)から、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 環境水中から大気に揮散されやすく(湖水および河川水での半減期は6日間および1日間(CICAD、2003))、かつ生物蓄積性が低い(BCF=6.4(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分外とした。 |
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使用マニュアル |
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