GHS分類結果

名称:クロロエチレン
CAS番号:75-01-4

結果:
物質ID: 113
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
ICSC(2000)による爆発限界下限値は3.6vol%であり、「区分1」に該当する。国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス・区分2.1(国連番号1086)。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類できない - - - - データなし。なお、国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス・区分2.1(国連番号1086)。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 ICSC(2000)による沸点は-13℃、かつHSDB(2005)による臨界温度は151.5℃であり、「液化ガス」に該当する。国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス・区分2.1(国連番号1086)。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分外 - - - - ラットを用いた吸入暴露試験(ガス)のLC50 108102ppm(SIDS(2001))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義によるガスであるため、蒸気での吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義によるガスであるため、粉塵・ミストでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ヒトへの健康影響のデータ(EHC 215(1999))の記述「erythema and some second-degree burns which healed without complication.」から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ヒトへの健康影響のデータ(EHC 215(1999))の記述から、「眼に対して軽度の可逆的刺激性を有する」と考えられるため、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書No.75(2004)、ATSDR(2004)の記述から、生殖細胞in vivo経世代変異原性試験で陰性(優性致死試験)、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験で陽性(染色体異常試験、小核試験)、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であることから区分2とした。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(2001)でA1、IARC(1987)でGroup1、EPA(2000)でA、NTP(2005)でK、日本産業衛生学会で1に分類されていることから、区分1Aとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書 No.75(2004)の記述から、雄ラットにクロロエチレンを吸入暴露した試験で、精巣の形態学的変化、精巣の相対重量の低値がみられているが、一般毒性についての記述がないことから区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)、区分3(麻酔作用) 危険
警告
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
H370: 臓器の障害(中枢神経系)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「錯乱、頭痛、めまい、多幸感、酩酊、麻酔作用、職場を離れた後での傾眠や過眠症」(CERIハザードデータ集 96-10(1997))の記述から標的臓器は中枢神経系と考えられ、麻酔作用もみられている。 以上より、分類は区分1(中枢神経系)、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、神経系、呼吸器、精巣) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、神経系、呼吸器、精巣) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「肝臓腫大、肝線維症、門脈性高血圧、脾臓腫大、めまい、不明瞭な視界、手足のひりひり感、四肢の冷感、知覚-運動性の多発神経病を含む神経障害、三叉神経知覚性神経症、軽度の錐体路症候、大脳、錐体外路性運動神経障害、神経衰弱、うつ症状、EEGの変化、肺気腫、肺線維症、レイノー現象、四肢先端の骨端融解、強皮症」(CERI・NITE有害性評価書 No.75(2004))等の記述、実験動物については、「肝細胞の多形性の有意な増加、肝のう胞の増加、肝細胞壊死、クッパー細胞の増殖、精巣の精細管障害、精巣における精上皮の壊死、巨大多核の合胞体細胞を伴う精子形成の乱れ」(CERI・NITE有害性評価書 No.75(2004)の)等の記述があることから、肝臓、神経系、呼吸器、精巣が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は、区分1(肝臓、神経系、呼吸器、精巣)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - 分類対象外

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の24時間LC50=80.7mg/L(EHC215、1999)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.46(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:3%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分3とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る