GHS分類結果

名称:o-アニシジン
CAS番号:90-04-0

結果:
物質ID: 83
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点:98℃(ホンメル(1991))、沸点:225℃(Merck(13th, 2001))。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が415℃(ICSC(1999))と70℃を超えている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素または塩素を含まず、酸素は炭素のみと化学結合している。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有しない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告:UN No. 2431, クラス 6.1、容器等級IIIに分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット LD50 = 2000 mg/kg(ACGIH(2001))、1890 mg/kg(EU-RAR(2002))に基づき区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットにおいて2000mg/kgで死亡例を認めなかったこと(EU-RAR(2002))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - エアゾールとして、ラット LC50 > 3.87 mg/L(EU-RAR(2002))。区分を特定できないので「分類できない」とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 OECDガイドライン404に準拠したウサギの皮膚刺激性試験において紅斑と軽度の浮腫が観察されているが、パッチ除去後72時間以内に全て消失との記述(EU-RAR(2002))に基づき区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
OECDガイドライン404に準拠したウサギの眼刺激性試験において結膜の浮腫と発赤、虹彩炎、角膜炎が観察されているが、適用後7日以内に全て消失との記述(EU-RAR(2002))に基づき区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - (EU-RAR(2002))、ヒトでは本物質を含む混合物のばく露を受けた子供の間でアトピー性皮膚炎の発生頻度が高くなったとの報告がある(EU-RAR(2002))。しかし、前者(モルモット)は不十分な情報のため妥当性に欠けると付記され、後者(ヒト)ではばく露を受けた混合物に20以上の物質が含まれ、本物質に起因するかどうか評価困難と記述されている。したがって、データ不足のため「分類できない」とした。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットの皮膚感作性試験で"a weak sensitizer"と評価され(EU-RAR(2002))、ヒトでは本物質を含む混合物のばく露を受けた子供の間でアトピー性皮膚炎の発生頻度が高くなったとの報告がある(EU-RAR(2002))。しかし、前者(モルモット)は不十分な情報のため妥当性に欠けると付記され、後者(ヒト)ではばく露を受けた混合物に20以上の物質が含まれ、本物質に起因するかどうか評価困難と記述されている。したがって、データ不足のため「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
体細胞を用いたin vivo変異原性試験として、マウス、ラットでの小核試験は全て陰性である(DFGOT vol.10(1998))が、トランスジェニックマウスを用いた遺伝子突然変異試験において誘発が認められている(EU-RAR(2002))ので、指針に従い区分2とした。なお、一部のin vivo DNA合成または付加体試験、宿主経由試験でも陽性結果がある。(DFGOT vol.10(1998))。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ほぼ同時期にIARCで2B、ACGIHではA3と分類されている。いずれを採用してもGHS分類は区分2となる。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経、血液) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経、血液) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに690 mg/kg以上の経口投与後、うずくまり、よろめき、自発運動低下、眩暈の中枢症状(DFGOT vol.10(1998)、EU-RAR(2002))、チアノーゼ(EU-RAR(2002))の他、血管のうっ血、メトヘモグロビン増加(EU-RAR(2002))が観察されている。中枢症状は3.87 mg/Lの吸入ばく露でも軽度ながら見られる(DFGOT vol.10(1998))。以上より区分2(中枢神経、血液)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの4週間反復経口投与試験では溶血性貧血が80 mg/kg以上で記録されている(EU-RAR(2002)、DFGOT vol.10(1998))ことに基づき、ガイダンス値を勘案し区分2(血液)とした。なお、ヒトではオルト・アニシジン(0.4 ml/m3)に1日3.5時間、6ヶ月間のばく露を受けた労働者に貧血症状は現れなかったものの、スルホヘモグロビンとメトヘモグロビンの増加が見出されている(DFGOT vol.10(1998))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=6800μg/L(環境省リスク評価第2巻、2003)他から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(TOCによる分解度:83%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=1.18(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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