名称:ホスゲン
CAS番号:75-44-5
物質ID: | 68 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC,2004)。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 区分外 | - | - | - | - | データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分2.3およびクラス8(国連番号1076)。 |
5 | 高圧ガス | 液化ガス | 警告 | H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ | P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 | ICSC(2004)による沸点は8℃、かつHSDB(2006)による臨界温度は182℃であり、「液化ガス」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分2.3(国連番号1076)。 | |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における気体である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分1 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた吸入暴露(ガス)試験のLC50 5.58 ppm(4時間換算)(CERIハザードデータ集 2000-51(2001))、ヒトでのLC50 170分間 3ppm暴露を4時間換算すると、2ppmとなる。これらのうち、ヒトでのLC50 2ppmから、区分1とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による気体であるため、蒸気での吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による気体であるため、粉塵・ミストでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
EHC 193(1997)に、「高濃度での皮膚接触にて皮膚刺激性を引き起こす」との記載があることから、区分2とした。 なお、EHC 193(1997)、IRIS(2006)ではヒトへの健康影響の記述において湿った皮膚との接触で「Skin contact with phosgene has been known to cause severe skin burns in humans. Vapor contact with moist or wet skin can lead to irritation and erythema.(ホスゲンの皮膚接触により、ヒトに対して重度の皮膚火傷を引き起こ事が知られている。湿った、あるいは濡れた皮膚との蒸気接触により、刺激、紅斑が引き起こされるかもしれない)」との記載がある。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
CERIハザードデータ集 2000-51(2001)、環境省リスク評価第4巻(2004)、EHC 193(1997)、ACGIH(7th, 2001)のヒトへの健康影響の記述において「本物質は強い刺激性があり、3 ppm 以上で眼や鼻に刺激性を示し、飛沫が眼に入った場合は重度の傷害を示す。」「眼刺激と灼熱感」等から、強い刺激性を有すると考えられるため、区分2Aとした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | IRIS(2006)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性、であることから「区分外」とした。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 毒性情報はあるが既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「異常は主に肺に見られる」、「呼吸困難及び虚脱感症状」、「ホスゲンによる脳障害は低酸素血症と低血圧による二次的なものである」(IRIS(2005))、「頭痛、悪心、咳、呼吸困難、疲労感、咽頭痛、胸部圧迫感、胸部痛、発熱が観察された。そのうち7人には肺水腫が認められた」(EHC 194(1997))等の記述、実験動物については、「肺胞タイプI細胞の障害」、「終末細気管支および肺胞壁への単核球の集積」(EHC 193(1997))等の記述があることから、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「レントゲン像及び臨床症状から25人が肺炎とされた」、「そのうち2人がホスゲンによる気管支炎と報告された」(EHC 193(1997))、「浅速呼吸、分時拍出量高値、酸素取り込み量低下」(IRIS(2005))等の記述、実験動物については、「GDP活性上昇、GPD活性上昇; 肺胞細胞過形成; 細胞質内空胞含有食細胞」(EHC 193(1997))、「肺胞の間質肥厚、終末細気管支/肺胞の炎症細胞浸潤、終末細気管支/細気管支周囲のコラーゲン増加」(IRIS(2005))等の記述があることから、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分類対象外 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
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