名称:ピクリン酸
CAS番号:88-89-1
物質ID: | 52 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 等級1.1 | 危険 | H201: 爆発物:大量爆発危険性 |
P370+P380: 火災の場合:区域から退避させること。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P230: ...にて湿らせておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P250: 粉砕/衝撃/.../摩擦のような取扱いをしないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P372: 火災の場合に爆発する危険性あり。 P374: 適当な距離から注意して消火すること。 P401: ...に保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
化学構造にニトロ基を含み、酸素収支の計算値が-45であり、かつ爆発安全データベース(2005)による分解開始温度は118℃ではあるが分解エネルギーは5.1kJ/gであり、火薬類に該当する。等級の分類はデータがないので、国連危険物輸送勧告がクラス・区分1.1D(国連番号0154)であることから、等級1.1とした。 | |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 国連危険物輸送勧告がクラス・区分1.1D(国連番号0154) |
8 | 自己反応性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 火薬類に分類されている。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点300℃(ICSC,1999))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点122℃(ICSC,1999)、試験温度140℃)。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分1.1Dであることから「区分外」とした(国連番号0154)。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分3 | 危険 | H301: 飲み込むと有毒 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた経口投与試験のLD50 492 mg/kg(厚労省報告(2001))、283 mg/kg(厚労省報告(2001))、200mg/kg(DFGOT vol.17(2002))、290mg/kg(DFGOT vol.17(2002))に基づき、計算式を適用して得られたLD50=214mg/kg から区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため、分類できない。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.17(2002)のウサギを用いた眼刺激性試験結果「刺激性は24時間以内に消退」という記述から、区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
CERIハザードデータ集 98-30(1999)、DFGOT vol.17(2002)のモルモットを用いた皮膚感作性試験結果の「皮膚感作性あり」という記述及び、CERIハザードデータ集 98-30(1999)、ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.17(2002)のヒトへの皮膚感作性に関する記述から、皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため、分類できない。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系、血液系、腎臓、肝臓)、区分3(気道刺激性) |
警告 危険 |
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) H370: 臓器の障害(中枢神経系、血液系、腎臓、肝臓) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「ピクリン酸を摂取した場合、頭痛、めまいを呈し、暗色尿及びタンパク尿を伴うことがある。大量に摂取された場合には赤血球の破壊、胃腸炎、出血性腎炎、急性肝炎を呈する。」(CERIハザードデータ集 98-30(1999))、「眼、鼻粘膜を刺激」(環境省リスク評価第3巻(2004))等の記述、実験動物については、「振戦から強直性/間代性痙攣」(CERIハザードデータ集 98-30(1999))、「自発運動の低下、歩行異常、間代性けいれん、着色尿(濃黄色)、皮膚の着色(黄色)、腹臥位、側臥位」(厚労省報告(2001))等の記述があることから、中枢神経系、血液系、腎臓、肝臓を標的臓器とし、気道刺激性をもつと考えられた。なお、実験動物に対する影響は区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(中枢神経系、血液系、腎臓、肝臓)、区分3(気道刺激性)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(血液系)、区分2(精巣) |
警告 危険 |
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液系) H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(精巣) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
実験動物については、「貧血は溶血に起因するものと思われる、精細管萎縮」(厚労省報告(2001))等の記述があることから、血液系、精巣が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(血液系)、区分2(精巣)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50=19.7mg/L(CERIハザードデータ集、1999)から、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性が区分3であるものの、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC=5mg/L(ECETOC TR91、2003)から判断して、区分外とした。 |
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