GHS分類結果

名称:クロロメタン
CAS番号:74-87-3

結果:
物質ID: 25
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
ICSC(2000)による爆発限界下限値は8.1vol%であり、「区分1」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分2.1(国連番号1063)。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分2.1(国連番号1063)。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 ICSC(2000)による沸点は-24.2℃、かつHSDB(2005)による臨界温度は143.10℃であり、「液化ガス」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分2.1(国連番号1063)。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50 1,800mg/kg(IUCLID(2000))から区分4とできるが、詳しい投与形態については不明。データ不十分なため、分類できないとした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットを用いた吸入暴露試験(ガス)のLC50 2,566ppm(SIDS(2004))、2,700ppm(SIDS(2004))のうち低い値 2,566ppmから区分4とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるため、蒸気での吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるため、粉塵・ミストでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。 なお、液化ガス暴露により、接触部位で凍傷が起こることがある。(ICSC(J)(2000))
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。 なお、液化ガス暴露により、接触部位で凍傷が起こることがある。(ICSC(J)(2000))
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分1B 危険 H340: 遺伝性疾患のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
SIDS(2004)の記述から経世代変異原性試験(優性致死試験)で陽性であることから区分1Bとした。
6 発がん性 区分外 - - - - IARC(1999)でGroup3、ACGIH(2001)でA4、EPA(2001)でDに分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書 No.40(2004)の記述から、マウスの催奇形性試験で、親に影響のみられていない用量で、児に心奇形がみられているので、区分1Bとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、心血管系)、区分2(肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用) 危険
警告
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
H370: 臓器の障害(神経系、心血管系)
H371: 臓器の障害のおそれ(肝臓、腎臓)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「吸入暴露による眩暈、虚弱、かすみ目、運動失調、嗜眠、不眠、錯乱、感覚異常、神経症及びうつ病様」、「経口摂取による、吐き気及び重度の頭痛、酩酊、錯乱、傾眠、運動失調、言語障害」、「心電図の異常、頻拍及び心拍数の増加、血圧低下」(いずれもCERI・NITE有害性評価書 No.40(2004))等の記述、実験動物については、「肝臓及び腎臓毒性、小脳変性」(CICAD 28(2000))等の記述から、神経系、心血管系、肝臓、腎臓が標的臓器と考えられ、麻酔作用を示している。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(神経系、心血管系)、区分2(肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、腎臓、中枢神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、腎臓、中枢神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「肝臓、腎臓への影響として、黄疸、無尿、タンパク尿」(CERI・NITE有害性評価書 No.40(2004))、「遠近調節が困難、複視など中枢神経系への影響」(ACGIH(7th, 2001))等の記述、他、肝臓、腎臓への影響を示した複数の症例報告(ACGIH(7th, 2001))等から、肝臓、腎臓、中枢神経系が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(肝臓、腎臓、中枢神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - 分類対象外

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=200mg/L(SIDS、2004)他から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=5320mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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