GHS分類結果

名称:クレゾール
CAS番号:1319-77-3

結果:
物質ID: 17
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体(m-体)、または固体(o-体、p-体)である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体(m-体)、または固体(o-体、p-体)である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体(m-体)、または固体(o-体、p-体)である。
6 引火性液体 区分4(m-体)、分類対象外(o-体、p-体) - 警告 H227: 可燃性液体(m-体) P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(1999)による引火点は86℃であり、「区分4」に該当する(m-体)。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分6.1およびクラス8(国連番号2076および3455)。GHSの定義における固体である(o-体、p-体)。
7 可燃性固体 分類対象外(m-体)、区分外(o-体、p-体) - - - - GHSの定義における液体である(m-体)。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1およびクラス8(国連番号2076および3455)(o-体、p-体)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外(m-体)、分類対象外(o-体、p-体) - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点626℃(ICSC,1999))(m-体)。GHSの定義における固体である(o-体、p-体)。
10 自然発火性固体 分類対象外(m-体)、区分外(o-体、p-体) - - - - GHSの定義における液体である(m-体)。常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点599℃(o-体)(ICSC,2000))、発火点559℃(p-体)(ICSC,2000))。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点30℃(o-体)(ICSC,2000)、融点11〜12℃(m-体)(ICSC,1999)、融点35℃(p-体)(ICSC,2000)、試験温度140℃)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない(m-体)。GHSの定義における固体である(o-体、p-体)。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である(m-体)。フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない(o-体、p-体)。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。なお、国連危険物輸送勧告では腐食性物質に該当しているが、皮膚腐食性も含む分類なので、金属腐食性に該当するのか判別できない(国連番号2076および3455)。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットによる経口投与試験のLD50=1,454 mg/kg(IUCLID(2000))より、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4 警告 H312: 皮膚に接触すると有害 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギによる経皮投与試験のLD50=2,000 mg/kg(EHC 168(1995))より、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体(o-クレゾール、p-クレゾール)又は液体(m-クレゾール)であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、「非可逆性の組織破壊」(EHC 168(1995))がみられたことから、区分1A-1Cとしたが、安全性の観点から1Aとする方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験の結果、「角膜混濁と血管新生」(CERIハザードデータ集 97-9@(1998))がみられ区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - CAS1319-77-3で規定されるクレゾールは、o-体、m-体、p-体、およびメチル基と水酸基の位置の不明のものであり、これら混合体のin vivo変異原性データはない。一方、EHC 168(1995)およびNTP TOX9(1992)の記述から、60:40 m/p-クレゾールは、体細胞in vivo変異原性試験(マウス赤血球を用いた小核試験)で陰性であること、o-クレゾールはマウス赤血球小核試験およびマウス優性致死試験で陰性であること、m-クレゾールはマウス骨髄染色体異常試験で陰性であることから、総合的にクレゾール(混合体)はin vivo変異原性を示さないと判断され、技術上の指針(Appendix 1)に従い「区分外」とした。
6 発がん性 区分外 - - - - クレゾール(CAS No. 1319-77-3)としての発がん性に関する既存分類はないが、当該物質の各異性体(o-、m-、p-クレゾール)について、同一の既存分類(EPA(1991)でCに分類)が存在しているため、それらの分類結果を用いてGHS分類を行い、区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液系、呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、中枢神経系)、区分3(麻酔作用) 警告
危険
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
H370: 臓器の障害(血液系、呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、中枢神経系)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「深い昏睡状態、重篤なメトヘモグロビン血症、ハインツ小体の形成と血管内溶血、血栓形成、肝臓の脂肪変性、腎臓の脂肪変性や尿細管の壊死」(CERIハザードデータ集 97-9(1998))、「心筋の機能障害、出血性肺浮腫、肝臓の小葉細胞の壊死、腎臓の壊死、脳のうっ血、腫大」(EHC 168(1995))等の記述、実験動物については、「間代性の痙攣、血尿、気道刺激性、肺と肝臓の壊死」(DFGOT vol.14(2000))等の記述があることから、血液系、呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、中枢神経系を標的臓器とし、麻酔作用をもつと考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(血液系、呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、中枢神経系)、区分3(麻酔作用)とした。 なお、これらの分類結果は組成不明のクレゾールや、他の混合物が含まれるクレゾールを用いたデータである。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(心血管系、血液系、腎臓、中枢神経系)、区分2(呼吸器) 警告
危険
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(心血管系、血液系、腎臓、中枢神経系)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「循環障害、赤血球数及び白血球数、血小板の軽度の減少」(環境省リスク評価 第2巻(2003))、「頭痛、悪心、嘔吐、高血圧、腎臓の機能障害、血中カルシウム濃度の異常、著しい振戦」(DFGOT vol.14(2000))等の記述、実験動物については、「鼻腔の呼吸上皮の過形成、」(CERIハザードデータ集 97-9A(1998)、CERIハザードデータ集 97-9B(1998))等の記述があることから、心血管系、血液系、腎臓、中枢神経系、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 なお、これらの分類結果は組成不明のクレゾールや、他の混合物が含まれるクレゾール、m-クレゾールとp-クレゾールのみの異性体混合物を用いたデータである。 以上より、分類は区分1(心血管系、血液系、腎臓、中枢神経系)、区分2(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ヨコエビ科)の48時間EC50=7mg/L(CERI・NITE有害性評価書(暫定版)、2006)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(o-体、p-体、m-体の各異性体の分解度が60%を超えている(SIDS、1998、2005)ことから類推)、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=1.95(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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