GHS分類結果

名称:アリルアルコール
CAS番号:107-18-6

結果:
物質ID: 9
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(2000)による引火点は21℃(密閉式)、かつ沸点は97℃であり、「区分2」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス3およびクラス・区分6.1(国連番号1098)。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 化学構造に不飽和結合を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス3およびクラス・区分6.1(国連番号1098)。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点378℃、ICSC(2000))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス3およびクラス・区分6.1(国連番号1098)。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 64mg/kg(ACGIH(7th, 2001))、70mg/kg、99mg/kg、105mg/kg(PATTY(4th, 2000))に基づき、計算式を適用して得られたLD50=68mg/kgから区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分1 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 45mg/kg(DFGOTvol15(2001))、89mg/kg(PATTY(4th, 2000))のうち低い値 45mg/kgから区分1とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)のLC50 0.391mg/L(4時間)(DFGOTvol15(2001))に基づき、計算式を適用し、LC50(4時間換算値)の165ppmが得られた。 飽和蒸気圧2.5kPa(20℃)(ICSC(2000))における飽和蒸気圧濃度は25000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分2とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトへの健康影響のデータ(DFGOTvol15(2001))の記述「物質との皮膚接触により、筋肉のより深部で、腐食と刺激あり。」から、区分1A-1Cとしたが、安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験のデータ PATTY(4th, 2000)の記述「角膜壊死、重度の障害」から、「眼に対して非可逆的作用を有する」と考えられるため、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - NTP DB(2005)、CERIハザードデータ集 99-24(2000)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo 変異原性試験なし、体細胞in vivo 変異原性試験(小核試験)で陰性であることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIH-TLV(2005)でA4に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - 環境省リスク評価第3巻(2004)の記述から、ラットの生殖毒性試験で影響がなく、ラットの発生毒性試験で親動物に対する影響についての記載がなくて次世代に奇形がみられているが、投与経路が羊水中であることから区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、肝臓、呼吸器、消化管) 危険 H370: 臓器の障害(中枢神経系、肝臓、呼吸器、消化管) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては「吐き気、嘔吐、血痰」(ACGIH(7th, 2001))、「流涙、眼球後部痛、羞明、筋肉の痙攣」(環境省リスク評価 第3巻(2004))、飛沫による「角膜火傷」(MOE)等の記述、実験動物については、「震え、痙攣発作、下痢、昏睡、肝障害」(ACGIH(7th, 2001))、「脂質の過酸化を伴う肝細胞の壊死」、「門脈周囲の壊死」(CERIハザードデータ集 99-24(2002))等の記述があることから、中枢神経系、呼吸器、消化管、肝臓が標的臓器と考えられる。実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲で見られた。以上より、分類は区分1(中枢神経系、呼吸器、消化管、肝臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腎臓、肝臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腎臓、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については「雄で100ppm以上雌で200ppm以上で腎機能の低下が見られた」(IRIS(2002))、「腎臓相対重量の有意な増加、体重増加の有意な抑制、再生を伴った肝細胞の壊死」(環境省リスク評価 第3巻(2004))、「肝臓で静脈洞の拡大、混濁腫脹、巣状壊死、腎臓で間質組織の増殖、尿細管上皮の壊死、糸球体腎炎様の変化」(環境省リスク評価 第3巻(2004))との記載があることから、腎臓及び肝臓が標的臓器と考えられた。なお実験動物に対する影響は、区分1に相当する範囲で見られた。 以上より、分類は区分1(腎臓、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分2 警告 H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動粘性率及び「炭素原子3以上13以下の一級ノルマルアルコールであることから」区分2とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=320μg/L(環境省リスク評価第2巻、2003)他から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:86%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.17(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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