名称:アクリル酸
CAS番号:79-10-7
物質ID: | 2 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 | 警告 | H226: 引火性液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ICSC(1999)による引火点は54℃(密閉式)であり、「区分3」に該当する。国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス3およびクラス8(国連番号2218)。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 化学構造に不飽和結合を含むが、データがなく分類できない。なお、国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス3およびクラス8(国連番号2218)。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点360℃(ICSC,1999))。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス3およびクラス8(国連番号2218)。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた経口投与のLD50=193 mg/kg(EHC 191(1997))、360 mg/kg(ACGIH(7th, 2001))、1,250 mg/kg(ACGIH(7th, 2001))、1,350 mg/kg(EHC 191(1997))、2,500 mg/kg(EHC 191(1997))、2,520 mg/kg(EHC 191(1997)7)、2,590 mg/kg(ACGIH(7th, 2001))に基づき、計算式を適用して得られたLD50= 900 mg/kg から区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギを用いた経皮投与のLD50=295、640、750、950 mg/kg(EHC 191(1997))に基づき、計算式を適用して得られたLD50= 430 mg/kg から区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 | 危険 | H331: 吸入すると有毒 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P311: 医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた吸入暴露(蒸気)のLC50(4時間)= 3.6、>5.100 mg/L(EHC 191(1997))に基づいて、小さい方の確定値を採用して区分する。LC50(4時間)= 3.6 mg/Lは、換算係数 1 mg/L=339 ppmを用いると1,200 ppmと換算された。飽和蒸気圧(25℃)529 Paにおける飽和蒸気圧濃度5,220 ppmから、LC50(4時間)値は飽和蒸気圧濃度の90%より小さく、試験条件下のアクリル酸は「ミストがほとんど混在しない蒸気」と考えられ、ppm濃度基準値を適用して、区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
ラットを用いて、ミストとして暴露した吸入暴露(ミスト)試験のLC50=11.1 mg/L(1時間)、7.5 mg/L(2時間)(EHC 191(1997))に基づき、計算式を適用してLC50(4時間)を算出した。LC50(4時間: 計算値)= 2.8、3.8 mg/Lのうち、小さい方の値 2.8 mg/Lから、区分4とした。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1A | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
EHC 191(1997)、EU-RAR No.28(2002)のウサギの試験結果の記述から、原液の1分間又は3分間の皮膚適用で腐食性反応を示すので、腐食性を有すると考えられ、区分1Aとした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
EHC 191(1997)、EU-RAR No.28(2002)の記述から、原液の点眼後20日でも眼瞼の瘢痕、角膜混濁が持続し、眼に対する非可逆的作用を示すと考えられ、区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | EHC 191(1997)、EU-RAR No.28(2002)の記述から、アクリル酸はモルモットに対して皮膚感作性を示す、あるいは示さないとの報告があるが、アクリル酸に含まれる不純物や重合阻害剤が感作性を示すものの、精製されたアクリル酸では示さないという結果と、1989年以来アクリル酸の工業製品を用いた450人以上の労働者に感作性症状が認められていないという報告から、アクリル酸自体は感作性を示さないと考えられるので、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | EU-RAR No.28(2002)の記述 から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陰性であることから、区分外とした。 |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | ACGIH(2001)でA4、IARC(1999)で3に分類されていることから、区分外とした。この分類はEU(2002)の評価(Acrylic acid is not suspected to be a carcinogenic agent. Based on these data carcinogenic effects are not anticipated to occur.)とも一致する。 |
7 | 生殖毒性 | 区分外 | - | - | - | - | EU-RAR No.28(2002)の記述から、親動物への毒性影響のみられる用量まで生殖・発生への影響がみられないことから、区分外とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器)、区分2(肝臓) |
警告 危険 |
H371: 臓器の障害のおそれ(肝臓) H370: 臓器の障害(呼吸器) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
実験動物について、経口経路で「肝臓実質の変性、肝臓壊死」、吸入経路で「呼吸器への重度の刺激性、肺の炎症」、経皮経路で「肺水腫」(いずれもEU-RAR No.28(2002))等の記述があることから、肝臓、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、肝臓への影響は区分2に、呼吸器に対する影響は区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器)、区分2(肝臓)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
実験動物について、「上部気道の炎症」(CERIハザードデータ集 96-27(1997))、「嗅上皮の病変」(環境省リスク評価 第3巻(2004))等の記述があることから、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、この影響は区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(セネデスムス)の72時間ErC50=0.13mg/L(EHC191、1997)他から、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急速分解性があり(BODによる分解度:67.8%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.35(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。 |
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