GHS分類結果 (関係省庁連絡会議 平成18年度事業)

ID182 フタル酸ジ-n-ブチル(CAS番号 84-74-2) 分類実施日 H18.4.20 (環境に対する有害性についてはH18.3.31)
使用マニュアル GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)

物理化学的危険性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 火薬類 分類対象外 - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
3 可燃性/引火性エアゾール 分類対象外 - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス類 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - ICSC(2002)による引火点は157℃(密閉式)であり、「区分外」に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性物質および混合物 分類対象外 - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点402℃(ICSC,2002))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性物質および混合物 分類できない - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水と接触して可燃性/引火性ガスを発生する物質および混合物 分類対象外 - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - データなし。

健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告
飲み込むと有害のおそれ
ラットに対する経口投与のLD50 = 6,300 mg/kg、8,000 mg/kg (以上、EU-RAR No.29, 2003)、>20,000 mg/kg (EHC 189, 1997) に基づき、最小値は6,300 mg/kgではあるが、23歳の男性労働者がおよそ10 gを誤飲したヒト事例から急性毒性が認められるので (EU-RAR No.29, 2003)、区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - ウサギに対する経皮投与のLD50 =>20,000 mg/kg (EU-RAR No.29 (2003)) に基づいて、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - データなし
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - ラットにおけるLC50 (ミスト) =>15.68 mg/L (EU-RAR No.29 (2003)) に基づいて、区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告
軽度の皮膚刺激
CERI・NITE有害性評価書 No.11 (2004)、EU-RAR No.29 (2003) の記述から、軽微ないし軽度の刺激性があると考えられ、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告
眼刺激
CERI・NITE有害性評価書 No.11 (2004)、EU-RAR No.29 (2003) の記述から、眼刺激性があるが、48または72時間後に回復しているので、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性: 分類できない    皮膚感作性: 区分1 (呼吸器感作性)

(皮膚感作性)
警告を表わす感嘆符のシンボル
(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)警告
(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:  EU-RAR No.29 (2003)、EHC 189 (1997) の記述から、動物実験ではフタル酸ジブチルは皮膚感作性を示していないが、ヒトの事例研究から陽性を示唆する結果があり、産衛学会勧告 (2005) は皮膚感作性を第2群に、日本職業・環境アレルギー学会 (2004) は皮膚感作性有りに分類しているので、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - CERI・NITE有害性評価書 No.11(2004)の記述から、経世代変異原性試験、生殖細胞in vivo変異原性試験で陽性結果がなく、体細胞in vivo変異原性試験で陰性であることから区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - EPA(1993)でDに分類されていることから区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 危険を表わす人物シルエットのシンボル
警告
生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い
CERI・NITE有害性評価書No.11(2004)の記述から、ラット及びマウスの生殖毒性試験でF0の生殖能低下、精巣の萎縮、精子生産能の低下、妊娠中期の流産、生産児数(率)の低下がみられ、また、ラット及びマウスの複数の催奇形性試験で児動物に奇形(外表奇形、骨格奇形)がみられ、さらにラットでは次世代雄の精巣及び副生殖腺の発生異常がみられているが、親動物にも一般毒性が見られている、または親動物への影響の記載なしであることから、区分2とした。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 区分1(腎臓、神経系)、区分3(気道刺激性) 危険を表わす人物シルエットのシンボル
警告を表わす感嘆符のシンボル
危険
警告
臓器(腎臓、神経系)の障害
(気道刺激性)呼吸器への刺激のおそれ
ヒトについては、「尿沈渣中には多量の赤血球と白血球が確認された」(CERI・NITE有害性評価書 No.11 (2004))との記述、実験動物については、「努力性呼吸、運動失調、局所の麻痺、痙攣、昏睡の症状、一部の動物で呼吸器系の麻痺による死亡例」(CERI・NITE有害性評価書 No.11 (2004))、「上部気道粘膜への明らかな刺激性」(EU-RAR No.29 (2004))等の記述から腎臓、神経系が標的臓器と考えられ、気道刺激性が示された。なお、実験動物に対する神経系へ影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(腎臓、神経系)、区分3(気道刺激性)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)、区分2(精巣、肝臓) 危険を表わす人物シルエットのシンボル
危険
警告
長期または反復暴露による臓器(呼吸器)の障害
長期または反復暴露による臓器(精巣、肝臓)の障害のおそれ
実験動物について、「精細管の変性、間質の水腫」(CERI・NITE有害性評価書 No.11 (2004))、「肝臓の萎縮及び帯状壊死」(EHC 189 (1997))、「用量依存性のある鼻腔粘膜の表皮肥厚」(EU-RAR No.29 (2004))等の記述があることから、精巣、肝臓、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物の呼吸器に対する影響は区分1、精巣、肝臓に対する影響は区分2のガイダンス値に相当する範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)、区分2(精巣、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データなし

環境に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告を表わす水生生物と毒物のシンボル
警告 水生生物に非常に強い毒性 魚類(アメリカナマズ)の96時間LC50=0.46mg/L(EU-RAR、2004)他から、区分1とした。
11 水生環境有害性(慢性) 区分外 - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:69%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低い(BCF=176(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分外とした。

参考資料

分類マニュアル

技術上の指針

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


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