GHS分類結果 (厚生労働省・環境省平成19年度事業)

ID93 ヒドラジン硫酸塩(CAS番号 10034-93-2) 分類実施日 H20.2.22
使用マニュアル GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)、技術上の指針(H17.12.6版)

物理化学的危険性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 火薬類 分類できない - - - 爆発性に関する原子団(ヒドラジン類)を含むが、試験データがなく分類できない。
2 可燃性/引火性ガス 分類対象外 - - - 固体である。
3 可燃性/引火性エアゾール 分類対象外 - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス類 分類対象外 - - - 固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - 固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - 固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - データなし
8 自己反応性物質および混合物 分類できない - - - 爆発性に関する原子団(ヒドラジン類)を含むが、試験データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - 固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - データなし
11 自己発熱性物質および混合物 分類できない - - - データなし
12 水と接触して可燃性/引火性ガスを発生する物質および混合物 分類対象外 - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - 固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - 塩が規定されておらず分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - データなし

健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4
警告 飲み込むと有害 ヒドラジン硫酸塩(1:1)(CAS: 10034-93-2)を用いたマウスへの経口投与によるLD50 = 418 mg/kg体重であり(BUA 205, 1996)、区分4に相当する。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - データなし
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - 固体であり、分類対象外とした
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - データなし
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - データなし
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - 分類できない。ただし、ヒドラジン硫酸塩(2:1)(CAS: 13464-80-7)で、ウサギ、ヒトにおいて刺激性が確認されなかった(CERI・NITE有害性評価書, 2004、BUA 205, 1996)との報告がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - データなし
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:分類できない
皮膚感作性:区分1

(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)警告
(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:ヒドラジンの塩についてのデータなし。ただし、ヒドラジン(CAS: 302-01-2)はアレルギー性接触皮膚炎を引き起こし(EHC 68, 1987)、産衛学会勧告(2007) の既存分類にて、皮膚感作性物質に分類されていることから区分1となっており、ヒドラジンの塩についても区分1に相当すると判断した。
5 生殖細胞変異原性 区分2
警告 遺伝性疾患のおそれの疑い ヒドラジン塩酸塩のマウススポット試験(CERI有害性評価書, 2004)およびマウス小核試験(Mutat Res., 389, 3-122, 1997)で陽性であることから、区分2とした。
なお、ヒドラジン(CAS: 302-01-2)は、CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2004)、EHC 68 (1987)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(マウス赤血球を用いた小核試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2となっている。
6 発がん性 区分2
警告 発がんのおそれの疑い EU(2007)がsalt of hydrazineをCarc. Cat. 2/R45に、U.S. EPA(1991)がヒドラジン/ヒドラジン硫酸塩をB2に、U.S. NTP(2005)がヒドラジン/ヒドラジン硫酸塩をRに分類していることから、区分2とした。
7 生殖毒性 区分2
警告 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 「ラットの妊娠11〜20 日目に、ヒドラジン塩酸塩を皮下投与した試験で、母動物に体重の減少 (20%) を示し、2 匹が死亡した。妊娠21 日目に母動物を帝王切開し、そのうち9 匹で生存胎児数の減少がみられたが、着床数には影響みられなかった。胎児には、体重の減少及び蒼白化を伴う浮腫が発現 (部位及び例数不明、全身性の変化と推定) したが、主要な奇形はみられなかった2)」との報告が得られており、母動物毒性がみられる用量で胎児毒性がみられていることから区分2とした。ただし、ヒドラジン(CAS: 302-01-2)は、マウスの発生毒性試験で、一般毒性がみられる用量で児に外脳症がみられる2)ことから、区分2となっている。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 区分1(神経系、肝臓)、区分3(麻酔作用)

危険
警告
臓器(神経系、肝臓)の障害
眠気又はめまいのおそれ
ヒドラジンの塩については、データ不足で分類できない。ただし、ヒドラジン(CAS: 302-01-2)については、ヒトについて「錯乱、嗜眠、不穏」、「意識喪失、潮紅、不規則な凶暴行為その後運動失調、眼振、振動感覚の低下、腕・脚部のチクチク感」、「AST・LDH・総ビリルビンの上昇」(EHC 68 (1987))、「肝臓毒性に関連した酵素値の大幅な上昇」(CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2003))等の記載があることから、神経系、肝臓が標的器官と考えられた。また、「嗜眠」(EHC 68 (1987))がみられたことにより麻酔作用があると考えられ、区分3に分類されることから、分類は区分1(神経系、肝臓)、区分3(麻酔作用)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(神経系、肝臓、呼吸器、腎臓、副腎)
危険 長期又は反復暴露による臓器(神経系、肝臓、呼吸器、腎臓、副腎)の障害 ヒドラジン硫酸塩については、ヒトについて「ヒドラジン硫酸塩を3回/日、1〜6ヶ月間経口摂取したヒトに、嘔吐、めまい、興奮、不眠、多発性神経炎症候群がみられた」(ATSDR, 1997)等の記述、実験動物については、「ハムスターにヒドラジン硫酸塩を15〜20週間強制経口投与した試験で、肝臓に硬変、細網内皮細胞増生、胆管増生が観察された」(CERI有害性評価書, 2004)等の記述があることから、神経系、肝臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
> なお、ヒドラジン(CAS: 302-01-2)については、ヒトについて「黄疸、肺炎、クレアチニン量の上昇、尿蛋白、血尿、限局性肝細胞壊死、重度腎炎、尿細管壊死、糸球体腎炎」(CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2003))、「肺X線検査による胸水及び影、血中ビリルビン量の上昇、死後剖検で肺炎、肝臓細胞の損傷」(EHC 68,1987)等の記載、実験動物については、「肝臓胆管増生、副腎の変性、鼻粘膜の炎症、鼻粘膜上皮の壊死と鱗屑化、過形成、扁平上皮化生」(CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2003))の記載があることから標的器官は肝臓、呼吸器、腎臓、副腎と考えられる。なお、実験動物に対する影響はいずれも区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられている。以上のデータから、分類は区分1(神経系、肝臓、呼吸器、腎臓、副腎)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データなし

環境に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1
警告 水生生物に非常に強い毒性 ヒドラジン(CAS 302-01-2)の藻類(セレナストラム)72時間EC50=0.006mg/L(ECOTOX, 2007)から、区分急性1とした。
11 水生環境有害性(慢性) 区分1
警告 長期的影響により水生生物に非常に強い毒性 急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=-2.07(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(ヒドラジンのBODによる分解度:2%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)ことから、区分慢性1とした。

参考資料

分類マニュアル

技術上の指針

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


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