GHS分類結果 (関係省庁連絡会議 平成18年度事業)

ID63 フッ化水素(フッ化水素酸)(CAS番号 7664-39-3) 分類実施日 H18.3.23
使用マニュアル GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)

物理化学的危険性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 火薬類 分類対象外 - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
3 可燃性/引火性エアゾール 分類対象外 - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス類 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - 不燃性(フッ化水素(ICSC,2004))。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性物質および混合物 分類対象外 - - - 自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - 不燃性(フッ化水素(ICSC,2004))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性物質および混合物 区分外 - - - 不燃性(フッ化水素(ICSC,2004))。
12 水と接触して可燃性/引火性ガスを発生する物質および混合物 分類対象外 - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 区分外 - - - フッ素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1およびクラス8であることから「区分外」とした (国連番号1052(無水物)および1790(フッ化水素酸))。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - 有機化合物でない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない(沸点20℃(ICSC,2004)、試験温度55℃)(フッ化水素)。データなし。なお、国連危険物輸送勧告では腐食性物質に該当しているが、皮膚腐食性も含む分類なので、金属腐食性に該当するのか判別できない(国連番号1790(フッ化水素酸))(フッ化水素酸)。


健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - データなし
健康有害性については、フッ化ナトリウム、CAS No.7681-49-4も参照のこと。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - データ不足のため、分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3
危険 吸入すると有毒 ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)のLC50(1時間) 0.79mg/L(CERIハザードデータ集 2001-46 (2002))、1.915mg/L(CERIハザードデータ集 2001-46 (2002))、1.828mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、1.909mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、1.069mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、0.792mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、1.136mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、1.317mg/L(ATSDR (2003))、1.069mg/L(PATTY (4th, 2000))、1.14mg/L(PATTY (4th, 2000))に基づき、計算式を適用してLC50(4時間換算値)の650ppmが得られた。飽和蒸気圧122kPa(25℃)(フッ化水素)(ICSC(2004))における飽和蒸気圧濃度は1210000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - データなし
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C
危険 重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷 CERIハザードデータ集 2001-46 (2002)、EURAR No.8 (2001)、ATSDR (2003)、PATTY (4th, 2000)の動物を用いた眼刺激性試験結果、およびヒトへの健康影響の記述から、「皮膚腐食性がある」と考えられる、またウサギを用いた5%水溶液の4時間適用試験結果から14日間観察でescharが認められたことから、区分1A-1Cとしたが、安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1
危険 重篤な眼の損傷 CERIハザードデータ集 2001-46 (2002)、EURAR No.8 (2001)、ATSDR (2003)の動物を用いた眼刺激性試験結果、及びATSDR (2003)の高濃度全身吸入暴露の事故報告の記述から、非可逆的作用を示し、腐食性を有すると考えられるため、区分1とした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:分類できない
皮膚感作性:区分1

(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)警告
(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
呼吸器感作性:データ不足のため、分類できない。  
皮膚感作性:  CERIハザードデータ集 2001-46 (2002)のヒトへの健康影響の記述「職業的に暴露されたヒトにおいて、アレルギー性皮膚炎がみられている」から、皮膚感作性があると考えられ、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2
警告 遺伝性疾患のおそれの疑い EU-RAR No.8 (2001)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞 in vivo 変異原性試験なし、体細胞 in vivo 変異原性試験(染色体異常試験)で陽性であり、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2とした。
6 発がん性 分類できない - - - 発がんに関するデータはあるが、既存分類を行なっている機関がない。「骨肉腫増加の証拠はない」とされているが、分類するに十分でないため、分類できない。
健康有害性については、CAS No.7681-49-4 フッ化ナトリウムも参照のこと。
7 生殖毒性 分類できない - - - データ不足のため、分類できない。
健康有害性については、CAS No.7681-49-4 フッ化ナトリウムも参照のこと。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、膵臓)
危険 臓器(呼吸器、膵臓)の障害 ヒトについては、「気道や肺の損傷、鼻粘膜への刺激性、眼結膜や気道への刺激性」(EU-RAR No.8 (2001))、「肺水腫、肺の出血性水腫、気管支炎、膵臓の出血及び壊死」(CERIハザードデータ集2001-46 (2002))等の記述、実験動物については、「呼吸器の炎症、肺のうっ血、肺胞の水腫」、「鼻腔粘膜の損傷(上皮及び粘膜下組織の壊死、炎症細胞浸潤、滲出液、出血)」((CERIハザードデータ集 2001-46 (2002))等の記述があることから、呼吸器、膵臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、膵臓)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(骨、歯、下垂体、甲状腺、腎臓、神経系、肝臓、精巣、気管支)
危険 長期ないし反復暴露による臓器(骨、歯、下垂体、甲状腺、腎臓、神経系、肝臓、精巣、気管支)の障害 ヒトについては、「骨へのフッ素沈着症(骨密度の増加、骨の形態的変化、外骨(腫)症)、斑状歯、記憶の喪失、下垂体から甲状腺の機能異常」(CERIハザードデータ集2001-46 (2002))等の記述、実験動物については、「腎臓の尿細管の変性及び壊死、中枢神経系の機能不全(条件反射の低下、刺激後、運動神経反射が起こるまでの潜時の延長)、神経細胞シナプスの変化、肝臓の散在性の巣状壊死、肝実質の脂肪変性、門脈周囲の線維化、陰嚢上皮の炎症、陰嚢の潰瘍、精巣の退行性変化」(CERIハザードデータ集2001-46 (2002))、「気管支粘膜の萎縮や浮腫、気管支周囲の肥厚化」(EU-RAR No.8 (2001))等の記述があることから、骨、歯、下垂体、甲状腺、腎臓、神経系、肝臓、精巣、気管支が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(骨、歯、下垂体、甲状腺、腎臓、神経系、肝臓、精巣、気管支)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データなし


環境に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - 水生生物に有害 甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間EC50=10.5mg/L(EU-RAR、2002)他から、区分3とした。
11 水生環境有害性(慢性) 区分外 - - - 急性毒性が区分3であるものの、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC=14.1mg/L(EU-RAR、2002)から判断して、区分外とした。



参考資料

分類マニュアル

技術上の指針

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


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