GHS分類結果 (関係省庁連絡会議 平成18年度事業)

ID56 ヒドラジン(CAS番号 302-01-2) 分類実施日 H18.4.20 (環境に対する有害性についてはH18.3.31)
使用マニュアル GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)

物理化学的危険性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 火薬類 区分外 - - - 化学構造に、酸素を含まない爆発性に関わる原子団として、窒素原子含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告が、クラス3、クラス・区分6.1およびクラス8 (国連番号2029)。
2 可燃性/引火性ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
3 可燃性/引火性エアゾール 分類対象外 - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス類 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告を表わす炎のシンボル
警告
引火性液体および蒸気
ICSC(1999)による引火点は38℃(密閉式)であり、「区分3」に該当する。国連危険物輸送勧告では、クラス3、クラス・区分6.1およびクラス8 (国連番号2029)。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性物質および混合物 区分外 - - - 化学構造に隣接した窒素原子含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告が、クラス3、クラス・区分6.1およびクラス8(国連番号2029)。
9 自然発火性液体 分類できない - - - ICSC(1999)による発火点は24℃(さびた鉄の表面)〜270℃(ガラス表面)とばらついており、条件により自然発火し易いと考えられるがデータがなく分類できない。なお、国連危険物輸送勧告では、クラス3、クラス・区分6.1およびクラス8(国連番号2029)。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性物質および混合物 分類できない - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水と接触して可燃性/引火性ガスを発生する物質および混合物 分類対象外 - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - 酸素、またはハロゲンを含まない無機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - 有機化合物でない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - データなし。なお、国連危険物輸送勧告では腐食性物質に該当しているが、皮膚腐食性も含む分類なので、金属腐食性に該当するのか判別できない (国連番号2029)。

健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険を表わす髑髏のシンボル
危険
飲み込むと有毒
ラットを用いた経口投与試験のLD50 60 mg/kg(DFGOT vol.1 (1989))から区分3した。
1 急性毒性(経皮) 区分2 危険を表わす髑髏のシンボル
危険
皮膚に接触すると生命に危険
ウサギを用いた皮膚投与試験のLD50 91 mg/kg(IUCLID (2000))から区分2した。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - GHSの定義による液体であるため、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3 危険を表わす髑髏のシンボル
危険
吸入すると有毒
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 0.75 mg/L (4時間)(DFGOT vol.1 (1989))から、計算式を適用してLC50(4時間換算値)の=570ppmがが得られた。
飽和蒸気圧2.1kPa(20度)(CERIハザードデータ集97-15(1998)における飽和蒸気圧濃度は21000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - データなし
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険を表わす薬品と掌のシンボル
危険
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、「刺激反応及び死亡がみられた」が、細区分できないので区分1A-1Cとしたが、安全性の観点から、1Aとしたほうが望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険を表わす薬品と掌のシンボル
危険
重篤な眼の損傷
ウサギを用いた眼刺激性試験の結果、「重度の刺激性がみられた」ことから、区分1とした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:分類できない   皮膚感作性:区分1 (呼吸器感作性)

(皮膚感作性)
警告を表わす感嘆符のシンボル
(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)警告
(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ
呼吸器感作性:データなし 
皮膚感作性:  産衛学会勧告(2004) の既存分類にて、分類されていることから区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2 危険を表わす人物シルエットのシンボル
警告
遺伝性疾患のおそれの疑い
CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2004)、EHC 68 (1987)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(マウス赤血球を用いた小核試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2とした。
6 発がん性 区分2 危険を表わす人物シルエットのシンボル
警告
発がんのおそれの疑い
IARC(1999)で2B、ACGIH(2005)でA3、IRIS(2005)でB2、NTP (2005) でRに分類されていることから区分2とした。
7 生殖毒性 区分2 危険を表わす人物シルエットのシンボル
警告
生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い
CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2004)の記述から、マウスの発生毒性試験で、一般毒性がみられる用量で児に外脳症がみられることから、区分2とした。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 区分1(神経系、肝臓)、 区分3(麻酔作用) 危険を表わす人物シルエットのシンボル
警告を表わす感嘆符のシンボル
危険
警告
臓器(神経系、肝臓)の障害
(麻酔作用)眠気またはめまいのおそれ
ヒトについては「錯乱、嗜眠、不穏」、「意識喪失、潮紅、不規則な凶暴行為その後運動失調、眼振、振動感覚の低下、腕・脚部のチクチク感」、「AST・LDH・総ビリルビンの上昇」(EHC 68 (1987))、「肝臓毒性に関連した酵素値の大幅な上昇」(CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2003))等の記載があることから、神経系、肝臓が標的器官と考えられた。また、「嗜眠」(EHC 68 (1987))がみられたことにより麻酔作用があると考えられ、区分3に分類される。
以上から、分類は区分1(神経系、肝臓)、区分3(麻酔作用)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、呼吸器、腎臓、副腎) 危険を表わす人物シルエットのシンボル
危険
長期または反復暴露による臓器(肝臓、呼吸器、腎臓、副腎)の障害
ヒトについては、「黄疸、肺炎、クレアチニン量の上昇、尿蛋白、血尿、限局性肝細胞壊死、重度腎炎、尿細管壊死、糸球体腎炎」(CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2003))、「肺X線検査による胸水及び影、血中ビリルビン量の上昇、死後剖検で肺炎、肝臓細胞の損傷」(EHC 68,1987)等の記載、実験動物については、「肝臓胆管増生、副腎の変性、鼻粘膜の炎症、鼻粘膜上皮の壊死と鱗屑化、過形成、扁平上皮化生」(CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2003))の記載があることから標的器官は肝臓、呼吸器、腎臓、副腎と考えられる。なお、実験動物に対する影響はいずれも区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上から、分類は区分1(肝臓、呼吸器、腎臓、副腎)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データなし

環境に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告を表わす水生生物と毒物のシンボル
警告 水生生物に非常に強い毒性 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=160μg/L(環境省リスク評価第1巻、2002)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(慢性) 区分1 警告を表わす水生生物と毒物のシンボル
警告 長期的影響により水生生物に非常に強い毒性 急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=-2.07(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:2%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。

参考資料

分類マニュアル

技術上の指針

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


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