GHS分類結果 (関係省庁連絡会議 平成18年度事業)

ID55 三酸化ニヒ素(亜ヒ酸)(CAS番号 1327-53-3) 分類実施日 H18.3.23 (環境に対する有害性についてはH18.2.10)
使用マニュアル GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)

物理化学的危険性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 火薬類 分類対象外 - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
3 可燃性/引火性エアゾール 分類対象外 - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス類 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - 不燃性(ICSC,1999)。
8 自己反応性物質および混合物 分類対象外 - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - 不燃性(ICSC,1999)。
11 自己発熱性物質および混合物 区分外 - - - 不燃性(ICSC,1999)。
12 水と接触して可燃性/引火性ガスを発生する物質および混合物 区分外 - - - 水に対して安定(水溶解度1.2〜3.7g/100mL(20℃)、ICSC(1999))。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分外 - - - 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1であることから「区分外」とした (国連番号1561)。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - 有機化合物でない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険を表わす髑髏のシンボル
危険
飲み込むと生命に危険
ラットを用いた経口投与試験の LD50=20 mg/kg, 188 mg/kg, 385 mg/kg (EHC 224 (2001)) より計算式を適用して求めた 25 mg/kg に基づき、区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - データなし
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類できないとした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - データなし
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - データなし
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - データなし
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告を表わす感嘆符のシンボル
警告
強い眼刺激
ウサギを用いた眼刺激性試験の「眼瞼の浮腫、角膜の損傷及び混濁がみられた」(CERIハザードデータ集 2001-8 (2001)) という記述より、眼刺激性を有すると考えられ、区分2A-2Bとしたが、安全性の観点から2Aとした方が望ましい。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:分類できない    皮膚感作性:分類できない - (呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)−
(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)−
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:  データなし
5 生殖細胞変異原性 区分2 危険を表わす人物シルエットのシンボル
警告
遺伝性疾患のおそれの疑い
CERIハザードデータ集 2001-8 (2002) 、産衛学会勧告(2000)、DFGOTvol.21 (2005)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陰性、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であることから区分2とした。しかし、分類に用いた染色体異常試験の陽性結果は疫学調査において得られた結果であり、暴露物質が当該物質と特定されたわけではないので注意が必要である。
6 発がん性 区分1A 危険を表わす人物シルエットのシンボル
危険
発がんのおそれ
NTP (2005)でArsenic compounds, InorganicとしてK、IARC (1987)でArsenic and Arsenic compoundsとしてGroup 1、日本産業衛生学会でヒ素およびヒ素化合物として1に分類されていることから、区分1Aとした。
7 生殖毒性 区分1A 危険を表わす人物シルエットのシンボル
危険
生殖能または胎児への悪影響のおそれ
CERIハザードデータ集 2001-8 (2002)、EHC 224 (2001)の記述から、複数の疫学調査において、ヒ素の暴露と生殖能力に対する悪影響(胎児、新生児、出生児の死亡率の増加、出生時体重の減少、自然流産、死産の頻度増加、先天性奇形の発生増加)に相関がみられている。加えて、シリアンハムスターを用いた催奇形性試験において、母体毒性が示されない用量で胎児に頭蓋裂、腎臓欠損を含む奇形がみられており、マウスの催奇形性試験においても母体毒性に関する記述はないが、胎児数減少と骨格奇形がみられていることから区分1Aとした。しかし、疫学調査の結果に関して交絡因子となる要素についての情報に不足があるため、注意が必要である。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 区分1(消化管、心臓、骨格筋、呼吸器) 危険を表わす人物シルエットのシンボル
危険
臓器(消化管、心臓、骨格筋、呼吸器)の障害
ヒトについては「嘔吐、下痢をともなう激しい消化管症状、筋痙攣と心臓異常」、「鼻腔粘膜刺激(鼻中隔欠損に進展することもあり)、咽頭、気管支刺激」(IARC 23 (2004))等の記述があり、実験動物では「空嘔吐や腸管出血」(EHC 224 (2001))等の記述があることから、標的臓器は消化管、心臓、骨格筋、呼吸器とした。
以上より、分類は区分1(消化管、心臓、骨格筋、呼吸器)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、末梢神経系、免疫系、呼吸器、肝臓、腎臓、皮膚、血管) 危険を表わす人物シルエットのシンボル
危険
長期または反復暴露による臓器(中枢神経系、末梢神経系、免疫系、呼吸器、肝臓、腎臓、皮膚、血管)の障害
ヒトについては「リンパ球数の顕著な減少」、「肝肥大、食欲不振、上気道症状、皮膚病変、抹消神経障害」、「明らかな肝臓、腎臓障害」(IARC 23 (2004))、「末梢血管障害により壊疽が起きている。台湾の例では数年に亘る暴露の総量はヒ素として約20 g と計算され、烏脚病を引き起こしている」、「三酸化二ヒ素による影響として体表、皮膚、結膜、鼻粘膜への刺激性が報告され、鼻腔の穿孔が報告された」(CERIハザードデータ集 2001-8 (2002))等の記述、実験動物では「脱毛、湿疹、表皮の扁平上皮過形成、角化亢進、皮膚の潰瘍及び痂皮形成」、「肺胞上皮、気管上皮、気管支上皮の化生」(CERIハザードデータ集 2001-8 (2002))等の記述があることから、中枢神経系、末梢神経系、免疫系、呼吸器、肝臓、腎臓、皮膚、血管が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲で見られた。
以上より、分類は区分1(中枢神経系、末梢神経系、免疫系、呼吸器、肝臓、腎臓、皮膚、血管)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データなし

環境に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - 水生生物に有害 魚類(ニジマス)の96時間LC50=20.2mg/L(CERIハザードデータ集、2002)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(慢性) 区分3 - - 長期的影響により水生生物に有害 急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いものの(BCF=5(既存化学物質安全性点検データ))、金属化合物であり水中での挙動が不明であるため、区分3とした。

参考資料

分類マニュアル

技術上の指針

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


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