参考資料
解説・用語集(エクセルファイル(64KB))
| ID45 トルエン(CAS番号 108-88-3) | 分類実施日 | H18.3.23 (環境に対する有害性についてはH18.2.10) |
| 使用マニュアル | GHS分類マニュアル(H18.2.10 版) |
| 危険・有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起用語 | 危険有害性情報 | 分類根拠・問題点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 火薬類 | 分類対象外 | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
| 2 | 可燃性/引火性ガス | 分類対象外 | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
| 3 | 可燃性/引火性エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
| 4 | 支燃性/酸化性ガス類 | 分類対象外 | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
| 5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
| 6 | 引火性液体 | 区分2 | ![]() |
危険 |
引火性の高い液体および蒸気 |
ICSC(2004)による引火点は4℃(密閉式)、かつ沸点は111℃であり、「区分2」に該当する。国連危険物輸送勧告ではクラス3、容器等級II (国連番号1294)。 |
| 7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
| 8 | 自己反応性物質および混合物 | 分類対象外 | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。 |
| 9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点480℃(ICSC,2004))。 |
| 10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
| 11 | 自己発熱性物質および混合物 | 分類できない | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
| 12 | 水と接触して可燃性/引火性ガスを発生する物質および混合物 | 分類対象外 | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
| 13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。 |
| 14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
| 15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
| 16 | 金属腐食性物質 | 区分外 | - | - | - | 国連危険物輸送勧告がクラス3 (国連番号1294)。 |
| 危険・有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起用語 | 危険有害性情報 | 分類根拠・問題点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 急性毒性(経口) | 区分5 | - | 警告 |
飲み込むと有害のおそれ |
ラットに対する経口投与のLD50=2,600、5,500、5,580、5,900、6,400、7,000、7,530 mg/kg (EU-RAR No.30 (2003)) に基づき、計算式を適用して区分した。LD50 (計算値) =4,800 mg/kgから、区分5とした。 |
| 1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | ラットに対する経皮投与のLD50=12,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、ウサギに対するLD50=14,100 mg/kg (EHC 52 (1985)) に基づき、小さい値を採用して、区分外とした。 |
| 1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
| 1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 | ![]() |
警告 |
吸入すると有害 |
ラットに対する吸入暴露のLC50 (4時間) =12.5、28.1、28.8、33 mg/L (EU-RAR No.30 (2003)) に基づき、計算式を適用して区分する。LC50 (計算値)=18 mg/Lは換算係数 (25℃) 1 mg/m3=0.265 ppmを用いると4,800 ppmと算出される。飽和蒸気圧 (25℃)=3.3 kPaにおける飽和蒸気圧濃度 (25℃)=33,000 ppmである。したがって、LC50=4,800 ppmは飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるので、「ミストがほとんど混在しない蒸気」と考えられ、ppm濃度基準値で分類して、区分4とした。 |
| 1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | データなし |
| 2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | ![]() |
警告 |
皮膚刺激 |
EU-RAR No.30 (2003) のウサギを用いた皮膚一次刺激性 (4時間適用) 試験結果の記述から、トルエンは中等度 (moderate) の皮膚刺激性を示し、区分2とした。 |
| 3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 |
眼刺激 |
EU-RAR No.30 (2003) のウサギを用いたOECD test guidelineに準拠した眼刺激性試験結果の記述から、7日間で回復するので、トルエンは軽度の眼刺激性を示すと考えられ、区分2Bとした。 |
| 4 | 呼吸器感作性又は皮膚感作性 | 呼吸器感作性:分類できない 皮膚感作性:区分外 | - | (呼吸器感作性)− (皮膚感作性)− |
(呼吸器感作性)− (皮膚感作性)− |
呼吸器感作性:データなし 皮膚感作性: EU-RAR No.30 (2003) のモルモットを用いたマキシマイゼーション法試験結果の記述から、トルエンは皮膚感作性を有しないと考えられ、区分外とした。 |
| 5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | EHC 52 (1986)、EU-RAR No.30 (2003)、IARC 71(1999)、ATSDR (2000)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであるが、in vivoでの陽性結果ははっきりとした陽性結果はなく、結果表に「+」と記載されている評価書もあるが、いずれも総合判断としては陰性としており(EUでは結果表でもすべて陰性としている)、また1970年代に旧ソ連で行われた実験ではベンゼンの混入が疑われ、Priority1の評価書では総じて陰性と判断している。したがって、他に陰性結果の試験が6試験あることも考慮し総合的に判断してin vivo変異原性試験は陰性と判断し、区分外とした。 |
| 6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | IARC(1999)でグループ3、ACGIH(2001)でA4、EPA(2005)でDに分類されていることから区分外とした。 |
| 7 | 生殖毒性 | 区分1A | ![]() |
危険 |
生殖能または胎児への悪影響のおそれ |
IRIS Toxiological review(2005)、EU-RAR No.30(2003)、IARC 71(1999)、IARC 47(1989)、EHC 52(1986)、ATSDR(2000)の記述から、ヒト疫学研究でトルエン暴露による自然流産の増加、妊婦のトルエン乱用による新生児の発育異常・奇形、トルエン暴露による血漿中の黄体形成ホルモン、テストステロン濃度の減少が示唆されており、EU RAR30(2003)ではNg et al.,1992の報告から"the study suggests an increased risk of late spontaneous abortions associated with exposure to toluene at levels around 88 ppm (range 50-150 ppm). The results of this study are used as a basis for the risk characterisation of developmental toxicity in humans."と結論していることから区分1Aとした。動物試験では、ラット及びマウスの催奇形性試験において母動物に一般毒性のみられない用量で、死亡胎児・骨化遅延の増加、胸骨分節の減少・未骨化、肋骨の奇形(shift in rib profile)、過剰肋骨、骨格の発達遅延、反射反応の遅延、学習障害、膣開口日齢及びtime of testes descentの早期化がみられている。なお、Da-Silva et al.(1991)によると、授乳を介した発生毒性への影響はみられなかったが、トルエンの母乳への蓄積がみとめられている。 |
| 8 | 標的臓器/全身毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用) | ![]() ![]() |
危険 警告 |
臓器(中枢神経系)の障害 (気道刺激性)呼吸器への刺激のおそれ (麻酔作用)眠気またはめまいのおそれ |
ヒトについては、「トルエンは、主に吸入によって速やかに吸収され中枢神経系に作用する。50-100 ppm で疲労感、眠気、めまい、軽度の呼吸器系への刺激をもたらす。200-400 ppm では興奮状態となり、錯感覚や吐き気を伴う。500-800 ppm になると中枢神経系の抑制が現れ、酩酊、精神錯乱、歩行異常などがみられる。」(CERIハザードデータ集 96-4 (1997))、「眼、鼻、喉へに対する刺激」(EU-RAR No.30 (2003))等の記述、実験動物については、「麻酔」(EU-RAR No.30 (2003))等の記述があることから、中枢神経系が標的臓器と考えられ、気道刺激性、麻酔作用を示した。 以上より、分類は区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。 |
| 9 | 標的臓器/全身毒性(反復暴露) | 区分1(中枢神経系、腎臓、肝臓) | ![]() |
危険 |
長期または反復暴露による臓器(中枢神経系、腎臓、肝臓)の障害 |
ヒトについては、「トルエンには薬物依存性があり、トルエンの嗜好的吸入により視野狭窄または眼振や難聴を伴う頭痛、振戦、運動失調、記憶喪失といった慢性的中枢神経障害が報告されている。CT 検査により脳萎縮が観察され、血尿やタンパク尿など腎機能障害も報告されている。」(CERIハザードデータ集 96-4 (1997))、「難聴、脳幹聴性誘発電位の変化」(ATSDR (2000))、「SGOTの上昇、肝細胞の脂肪変性やリンパ球浸潤を伴う肝毒性」(EU-RAR No.30 (2003))等の記述があることから、中枢神経系(脳、内耳への影響を含む)、腎臓、肝臓が標的臓器と考えられた。 以上より、分類は区分1(中枢神経系、腎臓、肝臓)とした。 |
| 10 | 吸引性呼吸器有害性 | 区分1 | ![]() |
危険 |
飲み込み,気道に侵入すると生命に危険のおそれ |
炭化水素であり、動粘性率は0.65 mm2/s (25℃) (計算値)である。 よって区分1とした。 |
| 危険・有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起用語 | 危険有害性情報 | 分類根拠・問題点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | 水生生物に毒性 | 甲殻類(ブラウンシュリンプ)の96時間EC50=3.5mg/L(EU-RAR、2003)他から、区分2とした。 |
| 11 | 水生環境有害性(慢性) | 区分外 | - | - | - | 急速分解性があり(BODによる分解度:123%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.73(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。 |