GHS分類結果 (関係省庁連絡会議 平成18年度事業)

ID42 トリクロロニトロメタン(CAS番号 76-06-2) 分類実施日 H18.7.24 (環境に対する有害性についてはH18.3.31)
使用マニュアル GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)

物理化学的危険性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 火薬類 区分外 - - - 化学構造にニトロ基を含み、酸素収支の計算値は0である。かつBretherick(J) (5th,1998)では、コンテナーに積み込まれたものは限界容量以上では衝撃により爆発することが試験で示されている、としており火薬類に該当する可能性はあるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1 (国連番号1580)。
2 可燃性/引火性ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
3 可燃性/引火性エアゾール 分類対象外 - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス類 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - 不燃性(ICSC,1999)。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性物質および混合物 区分外 - - - 化学構造に、爆発性に関わる原子団としてニトロ基を含むが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1 (国連番号1580)。
9 自然発火性液体 区分外 - - - 不燃性(ICSC,1999)。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性物質および混合物 区分外 - - - 不燃性(ICSC,1999)。
12 水と接触して可燃性/引火性ガスを発生する物質および混合物 分類対象外 - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 区分外 - - - 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1 (国連番号1580)。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1 (国連番号1580)。

健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険を表わす髑髏のシンボル
危険
飲み込むと有毒
ラットを用いた経口投与試験のLD50=250mg/kg (環境省リスク評価第2巻 (2003)) に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - データなし
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - GHSの定義における液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険を表わす髑髏のシンボル
危険
吸入すると生命に危険
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(4時間)=14.4 ppm (環境省リスク評価第2巻 (2003))、6.6 ppm (PATTY (4th, 1999)) のうち小さい値である 6.6 ppm は、飽和蒸気圧 2.26 kPa (20℃) における飽和蒸気圧濃度 22,400 ppm の90 %よりも低い値なので、「ミストをほとんど含まない蒸気」として、ガスの基準値で分類し、区分1とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - データなし
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告を表わす感嘆符のシンボル
警告
皮膚刺激
CERIハザードデータ集 2000-3 (2001) のヒト疫学事例に、「皮膚、眼、気道粘膜、消化器粘膜に対し刺激性を有する」「皮膚への暴露では皮膚炎がみられる」という記述があり、皮膚刺激性を有するものと考えられ、EU分類が R36/37/38 であることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険を表わす薬品と掌のシンボル
危険
重篤な眼の損傷
CERIハザードデータ集 2000-3 (2001) のヒト疫学事例に「誤って眼に入り、重度の水腫がみられた」とあることから、眼に対して重度の刺激性を示すと考えられ、非可逆性かどうか不明であるため区分1-2Aとしたが、安全性の観点から区分1とする方が望ましい。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:分類できない    皮膚感作性:分類できない - (呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)−
(呼吸器感作性)−
(皮膚感作性)−
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:  データなし
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - NTP DB (Access on Apr., 2006)、CERIハザードデータ集2000-3 (2001) の記載から、in vitro変異原性の2つの指標 (突然変異試験、染色体異常試験) で陽性結果が得られているが、いずれも強いものではなく、in vivoデータもないことから、分類できないとした。
6 発がん性 区分外 - - - ACGIH (2001) でA4に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - データ不足 (親動物の生殖能に関するデータなし) のため分類できない。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 区分1(神経系、呼吸器、血液系) 危険を表わす人物シルエットのシンボル
危険
臓器(神経系、呼吸器、血液系)の障害
ヒトについては、「家族は咳、流涙、鼻水、気管支炎及び鼻腔炎症をきたした」(DFGOT vol.6 (1994))、クロルピクリンを顔面にスプレーされ、肺水腫で死亡した」(CERIハザードデータ集 2000-3 (2001))、「乾性咳を起こし鼻及び咽頭粘膜赤化し浮腫を示した」(ACGIH (7th, 2002))、「流涙、鼻水、咳、頭痛、呼吸困難をともなう上気道刺激。より強い暴露を受けたものにはメトヘモグロビンの生成が見られた」(DFGOT vol.6 (1994))等の記述、実験動物については、「呼吸促進、自発運動の低下、眼の充血、吸気性呼吸困難、気道の腫張、狭窄により消化管内への空気の貯留による腹部膨満、肺のうっ血、肺炎、肺水腫」(CERIハザードデータ集 2000-3 (2001))、「出血性肺水腫」(DFGOT vol.6 (1994))等の記述があることから、神経系、呼吸器、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系、呼吸器、血液系)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、中枢神経系)、区分2(血液系) 危険を表わす人物シルエットのシンボル
危険
警告
長期または反復暴露による臓器(呼吸器、中枢神経系)の障害
長期または反復暴露による臓器(血液系)の障害のおそれ
ヒトについては、「高濃度の長期暴露では肺水腫で死亡することもある」(CERIハザードデータ集 2000-3 (2001))「流涙、咳、眩暈、頭痛、悪心、嘔吐感、疲労感等を訴えた」(HSDB (2005))等の記述、実験動物については、「ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値の減少」(CERIハザードデータ集 2000-3 (2001))、「鼻腔(炎症、嗅上皮の萎縮など)及び肺(出血、細気管支周囲の平滑筋過形成など)の傷害」(環境省リスク評価第4巻 (2005))の記述があることから、呼吸器、中枢神経系、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、中枢神経系)、区分2(血液系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データなし

環境に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告を表わす水生生物と毒物のシンボル
警告 水生生物に非常に強い毒性 魚類(ニジマス)の96時間LC50=0.0165mg/L(CERIハザードデータ集、2001)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(慢性) 区分1 警告を表わす水生生物と毒物のシンボル
警告 長期的影響により水生生物に非常に強い毒性 急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=2.09(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。

参考資料

分類マニュアル

技術上の指針

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


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