GHS分類結果 (厚生労働省・環境省平成21年度事業(注))
(法規改正による見直し分類結果)

ID21C0012 ニッケル(CAS番号 7440-02-0) 分類実施日 H22.2.19(環境に対する有害性は、H18.3.31)
使用マニュアル 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3)(環境に対する有害性はGHS分類マニュアル(H18.2.10))

物理化学的危険性

見直し前の分類結果はこちら
危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 火薬類 分類対象外 - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
3 可燃性/引火性エアゾール 分類対象外 - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス類 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - 粉塵、ダストはUN1436に該当し、IMDGに「easily ignited, causing explosion」と記載されている。粒子サイズ、形状等が結果に影響するので、国連文書2.7.2.4.注記に従い、所定の試験をして区分判定すべきである。ブロック状態の亜鉛は区分外と考えられる。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - 分子内に爆発性又は自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - Merck(13th,2001)では、常温では空気中で安定としている。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - 常温で空気中で安定、また、水と反応しないとしている(Merck 13th,2001)。また、水と混合しない(ホンメル, 1996)より区分外とした。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - 酸素、フッ素、または塩素を含まない元素である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - 元素である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。


健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - ラットLD50> 9000 mg/kg (ECETOC TR 33(1989))は区分外である。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - 動物を用いた試験データがないことから分類できないとした。しかしながら、ヒトの疫学的症例として90分間に382 mg Ni/m3の濃度と見積もられる吸入暴露で13日後に呼吸窮迫症候群により死亡した例が報告されている(ATSDR (2005))。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - データなし。
4 呼吸器感作性 区分1
危険 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ 日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告 (2008)で気道感作性物質 (第2群)に、日本職業アレルギー学会 (2004)及びDFG(MAK/BAT No43 (2007))で気道感作性物質に分類されていることから、区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1
警告 アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれ ヒトの症例として、湿疹(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69, 2008; EHC No. 108, 1991)、接触皮膚炎(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69, 2008; EHC No. 108, 1991; IARC vol. 49, 1990)、パッチテストにおける陽性反応(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69, 2008; EHC No. 108, 1991)が報告されている。また、日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告 (2008)で皮膚感作性物質 (第1群)に、日本職業アレルギー学会(2004)及びDFG(2007)で皮膚感作性物質に分類されていることから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - ラットの吸入ばく露による肺胞マクロファージにおける染色体異常の結果が陽性(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69(2008))との結果があるが特殊な試験系である。他にin vivoの試験データがなく分類できないとした。なお、in vitro変異原性試験:ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験 (IARC vol. 49, (1990))、ヒトリンパ芽球TK6を用いた突然変異試験(詳細リスク評価書シリーズ19 (2006))は陰性である 。
6 発がん性 区分2
警告 発がんのおそれの疑い 既存分類においてIARCが2B(IARC(1990))、NTPがR(NTP (2005)) 、そしてEUがCarc. cat. 3; R40(EU(2007))に区分していることから区分2とした。また、ラットの吸入、皮下、筋肉内、胸腔内、腹腔内投与による発がん性試験においていずれもがんや肉腫の発生が見られている(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69 (2008); IARC vol. 49 (1990); 詳細リスク評価書シリーズ19 (2006))。
7 生殖毒性 分類できない - - - データ不足で分類できない。なお、ラットの妊娠前7ヵ月間および妊娠期間中の経口投与(飲水)により、着床前死亡がやや増加し、奇形仔がいくらか認められたとの記載(Teratogenic (12th, 2007))があるが、それ以上の記述はなく詳細は不明である。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器,腎臓)
危険 臓器(呼吸器,腎臓)の障害 雄ラットの吸入(単回気管内投与)ばく露試験において、0.5 mg以上の投与量において肺胞上皮細胞の障害を引き起こした(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69 (2008))。また、ヒトにおいて吸入暴露によって「肺胞領域での肺胞壁への障害及び水腫、腎臓における顕著な尿細管壊死」(ATSDR (2005))を引き起こした記述があることから区分1(呼吸器,腎臓)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)
危険 長期にわたる, 又は反復暴露による臓器(呼吸器)の障害 厚生労働省報告では、職業的にニッケル酸化物や金属ニッケルの0.04mg/m3以上の濃度にばく露している労働者は、呼吸器疾患で死亡する確率が高いとされ、また、ニッケル精錬とニッケルメッキ作業者に鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔穿孔、鼻粘膜異形成の報告がある(厚生労働省報告:ニッケルおよびその化合物有害性評価書(2009))。これにより区分1(呼吸器)とした。ラットを用いた13週間の吸入ばく露試験(OECD TG 413)のガイダンスの区分1に相当する1mg/m3(0.001mg/L)以上の用量において、雌で肺胞タンパク症、肺肉芽腫性炎症が見られ、雄で肺単核細胞湿潤が見られた(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69 (2008))。また、ラットの21ヶ月間の吸入ばく露試験においても、ガイダンスの区分1に相当する15mg/m3(0.015mg/L) の用量で胸膜炎、肺炎、うっ血及び水腫が見られ(CaPSAR (1994))、さらにウサギを用いた6ヶ月間の吸入ばく露試験においても1mg/m3(0.001mg/L)で肺炎をおこす。なお、EU分類においてはT; R48/23に区分されている。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データなし。


環境に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(慢性) 区分4 - - 長期継続的影響により水生生物に有害のおそれ L(E)C50≦100mg/Lデータが存在するものの、金属であり水中での挙動が不明であるため、区分4とした。

(注)
「物理化学的危険性」及び「健康に対する有害性」:厚生労働省委託事業による見直し分類結果
「環境に対する有害性」:環境省委託事業による分類結果


参考資料

政府向けGHS分類ガイダンス

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


物質一覧ページに戻る

GHS関連情報トップページに戻る