GHS分類結果 (経済産業省平成19年度事業)
(パブリックコメントに寄せられたコメント等を参考にした分類(Bパターン))

ID3 2-butanone oxime(CAS番号 96-29-7) 分類実施日 2008.03.25
使用マニュアル GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)
(GHS国連文書改訂2版で変更された箇所については、変更後の記述に則って分類した)

健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4
警告 飲み込むと有害 ラットを用いた経口投与試験のLD50値は2,528 mg/kg、2,326 mg/kg、3,700 mg/kg (以上はIUCLID(2000))、930 mg/kg (IUCLID(2000)、RTECS(2006))に基づき、計算式を適用して得られたLD50値=1,440 mg/kgから区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3
危険 皮膚に接触すると有毒 ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値が1,000-2,000 mg/kg(IUCLID(2000))から、下限値のLD50値である1,000 mg/kgを採用して区分3とした。EU-AnnexIはR21であり、GHS区分3〜4に相当する。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - GHS定義の液体であるため、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - 「20℃の飽和蒸気(0.076 mg/L)に8時間暴露(4時間換算値0.152 mg/L)しても、12匹のラットは死亡なし」(IUCLID(2000))と記載されているので、LC50値は>0.152 mg/Lとなる。区分1の蒸気基準値は0.5 mg/Lであるので、分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - 飽和蒸気圧濃度(20℃)は0.076 mg/Lである。ラットを用いた吸入投与試験のLC50値は20 mg/L/4hr (IUCLID(2000))である。ミスト基準で区分4の基準値は0.05 mg/Lなので、区分外とする。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - IIUCLID(2000)記載のウサギに対する試験には、EC分類が「irritating」のものと、「not irritating」のものが混在している。「ドレイズテストでわずかな(slightly)刺激性有」と記載した試験は、EC分類は「irritating」である。この試験の一次情報源のStudy from 1978, TSCATS fiche OTS0524679を確認したところ、暴露時間等の詳細は記載されていなかった。また、24時間暴露の試験がIUCLIDリストに数件あり、EC分類はいずれも「irritating」であるが、試験の詳細は不明であるので、分類できない。
なお、EU Annex IではR34、R38に該当していない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1
危険 重篤な眼の損傷 ウサギに対し「高度の(highly)刺激(1989年)」(IUCLID(2000))、「重度の(severe)刺激(1987年)」 (RTECS(2006))とあることから区分1とした。EU-AnnexIはR41であり、GHS区分1に相当する。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:分類できない
皮膚感作性:区分1

警告 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 呼吸器感作性:データがないので分類できない。
皮膚感作性:ACGIH-TLVのGermany-MAKにShと記載されており、「モルモットによる、GLP準拠のmaximization testで感作性あり」(IUCLID(2000))に基づき「区分1」とした。なお、EU-Annex1:R43はGHS区分1に相当する。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - 体細胞を用いるin vivo変異原性試験について、マウス末梢血を用いる小核試験で陰性(NTP DB (Access on Dec. 2007))、ラット骨髄細胞を用いる染色体異常試験、マウス末梢血および骨髄細胞を用いる小核試験で陰性(IUCLID(2000))であることから区分外とした。なお、in vitro試験では、細菌を用いた復帰突然変異試験において特定の条件下で非常に弱い遺伝毒性が観察されるが、CHO培養細胞を用いる姉妹染色分体交換試験及び染色体異常試験では陰性(NTP DB (Access on Dec. 2007))、細菌を用いる復帰突然変異試験及びCHO培養細胞を用いる染色体異常試験で陰性(厚労省報告(Access on Dec. 2007))であった。
6 発がん性 区分2
警告 発がんのおそれの疑い EU-AnnexIでCat. 3; R40に分類されていることから区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - GLP準拠のラットを用いる経口投与の二世代生殖毒性試験では、母体毒性が10 mg/kg未満で見られたのに対し、F1とF2世代では200 mg/kgでも影響が生じなかった。一方、GLP準拠の発生毒性試験において、18匹の親動物中8匹が死亡する投与量(40 mg/kg)で、3匹に流産が認められている(IUCLID(2000))。40 mg/kgという投与量は低用量であり、親動物が死亡する用量とはいえ胎児毒性(流産)を二次的な影響と判断し、生殖毒性を無視するのは適切ではない。よって、分類できない。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 分類できない - - - ラットを用いた吸入投与試験において、50 mg/L/4hrで「眠気の症状」(RTECS(2006))とある。しかし、ラットによる吸入投与試験のLC50値20 mg/L(IUCLID(2000))というデータを考慮すると、50 mg/L/4hrは致死濃度に相当する。よって、特定標的臓器毒性(単回暴露)の項で分類するのは不適切であり、分類できない。ただし、IUCLIDの一次文献(Federal register USA (1986) 51, 220, 41430-41432. methylethyl ketonoxime)を精査し、LC50値20 mg/Lが不適切と判断された場合は、RTECSの「眠気の症状」を採用して区分3(麻酔作用)となる可能性がある。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(造血系、肝臓、腎臓)
危険 長期又は反復暴露による臓器(造血系、肝臓、腎臓)の障害 ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験において、「雌雄の 20 mg/kg以上の群に網状赤血球率の上昇および脾臓に対する影響(うっ血,髄外造血の亢進およびヘモジデリン顆粒の増加)等が認められ、雌の20 mg/kg以上の群に血小板数の増加、赤血球数,ヘマトクリット値および血色素量の減少等が認められた」(厚労省報告(Access on Dec. 2007))ことから、区分1(造血系)とした。
さらに、ラットを用いる経口投与簡易生殖毒性試験において、「雌雄の10 mg/kg以上の投与群で脾臓のうっ血,色素沈着,髄外造血,肝臓の糖質沈着,クッパー細胞の色素沈着,髄外造血,腎臓の褐色色素沈着の発生数あるいは程度の増強」(厚労省報告(Access on Dec. 2007))が見られることから、区分1(肝臓、腎臓)を追加し、区分1(造血系、肝臓、腎臓)とする。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データがないので分類できない。

参考資料

分類マニュアル

技術上の指針

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


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